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ユリアナ姫の大冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ユリアナ姫の大冒険 6

「いやにあっさりしてるなお袋・・・」
「私の可愛いジョルジュはそう簡単にやられないわ」

母性を滲ませながらうっとりとそう言うユーリア。
このユーリアの子供扱いがガウェイン達がジョルジュを軽んじる事になっているのだが、ユーリアは一貫してジョルジュを信頼してるようだ。

「それにユリアナは女になって・・・守るものができたらきっと強くなれる子よ」
「・・・そんなもんなんですかねぇ」

女王程信用できてないジョルジュは怪訝そうに言葉を返す。
だが、ユーリアの方は自身ありげに二人を見送っていたのだった。


そうとは知らない二人は最初の目的地へと向かう。

「最初はどこに行くんだい?、ユリアナ」
「トーリアの森を抜けてカターロの町って言ってたわ、ジョルジュ」

身分を伏せる為に互いに名前で呼び合う事にしたから、ユリアナは余計にデート気分のようだった。
ジョルジュの方は若干小首を傾げて考える。

トーリアの森は『王国禁猟地』になっており、みだりに立ち入りは禁じられてる所だ。
ただ、環境保護の為で危険な魔物がいるから封鎖されてる訳ではないとは聞いていた。

だが王宮育ちの二人は知らない・・・
いや、熟練の冒険者ぐらいしか知らない話だが、このトーリアの森の別名は『淫魔の森』・・・
一度足を踏み入れると淫魔の虜になり二度と出られないと噂があり、それ故に封鎖されたとも言われる森だったのだ。

ユーリアは勿論それを分かっていて最初の目的地にしたのだが・・・
二人はそれを知らず森へと向かって行ったのだった。


森に入る直前、二人は最初の魔物の襲撃を受けていた。
『追い剥ぎ妖魔』半獣半人のコボルトの小さな群れ。
旅人の身ぐるみを剥いで生きているこそ泥のような低級な魔物だった。

だが・・・

「えいっ!、やあああっっ!!」
「ユリアナっ!、落ち着いてっ、大振りは駄目だ!」

ユリアナが振り回す剣をヒョイヒョイと避けるコボルト。
小さい彼らの動きは俊敏だ。
ジョルジュの方はコンパクトに剣を振るいコボルトを蹴散らすが、その分隙だらけのユリアナにコボルトは殺到していた。

「もうっ!、何っ、こいつらっ!!・・・当たれぇぇっっ!!」
「振り回しちゃ駄目だっ!、ユリアナっ!」

頭に血が上ったユリアナは剣を振り回すが、馬鹿にするようにひょいひょい動くコボルトは剣に当たらないのだ。
そして、一匹のコボルトがヒョイとユリアナに足払いを決める。

「きゃっ!!」
「ユリアナっ!!」

倒れたユリアナにコボルトが殺到する。
彼らの目的は殺しでは無い。
よってたかってユリアナの装備を剥ぎとっていくのだ。
追い剥ぎ妖魔と言われる彼らだけに、ユリアナの皮の帽子やナップサック、挙句の果てにはブーツやズボンや皮の鎧まで剥ぎ取ろうとしてきたのだ。

「なにするのよっ!!」

無茶苦茶に腕を振り回して抵抗するユリアナだったが、敵もさるもの・・・
ジョルジュがユリアナの側にコボルトを蹴散らしながら駆け寄る頃には、散々たる有様になっていた。
そして戦利品を得たコボルトは脱兎の如く逃げていく。
剣や盾は無事だったが、ユリアナの衣服は大変な事になっていたのだった。

無事なのは下着と靴のみ、抵抗のため地面を転がったので体中が泥だらけで口の中にも砂利が入り込んでいた。

「あいつらー、絶対に許さないんだから」

そういって剣と楯をつかむと森の中へと駆け出しって行った。
一方ジョルジュの方はいきなりの急展開についていけず一瞬気を抜いてしまう。
我にかえるとユリアナを追いかけようとするが、木の根につまづいてしまう。

「イタタ、まいったなもう」

直ぐに起き上がり走り出した。
だが、ジョルジュは気づかなかったが、このとき軽く足首を捻挫していたのだ。
そのためジョルジュの足は徐々に遅くなり、結果二人は森の中ではぐれてしまった。
ユリアナはコボルトを追うのに夢中で自分がジョルジュとはぐれたのに気づいていなかった。
ただコボルトが逃げた方向へと向うのみで、気がついたら自分が何処にいるのかも分からなくなっていた。
しかし、楽天家のユリアナは不安に思うことなく、直ぐにジョルジュが追いつくと考えていた。
実際の所ジョルジュはユリアナがいる所とはまったく違う場所に向っているのだが。

しばらく歩くとユリアナの鼻は異臭を感じた。

「これって硫黄の匂いかしら」

匂いがする方向へ向うと湯気が立ってるのが見えた。

「もしかして温泉!?行ってみる価値はあるわね」

しばらく歩くと木々は疎らになり、ゴツゴツとした岩場になっていった。
そしてユリアナの予想通り湯気が立つ温泉があったのだ。

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