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ユリアナ姫の大冒険
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ユリアナ姫の大冒険 5

旅立ちといっても特に仰々しくセレモニーなどが行われるものではない。
ひっそりただ一人で裏門から出て行くのが習わしであった。
それは王族が冒険に出ることを周囲に悟られないためのものであり、冒険に旅立つ王族に覚悟を決めさせるためでもあった。
見送りも厳禁、例え女王といえど破ることは出来ない掟であった。
持っていく装備も普通なもので、お金も一月分だけである。
ただし今回は特例で一人だけお供をつけることが許された。

「いよいよ私の伝説がはじまるのね」

裏門から出て意気揚々と歩みを進めるのはユリアナ姫。
皮の鎧に鉄の楯、腰にはロングソードを挿し背中にはナップサックを背負う。
頭には皮帽子をかぶり、昨日までは足首まで有った神をばっさり刈り上げ、見た目は少年そのものである。
そのユリアナを待ち構えるように一人の戦士がいた。
旅の剣士と言った感じのその男を見てユリアナは目を見開く。

「おっ、お父様っ?!!」

そう、その剣士の男はユリアナの父ジョルジュだった。
優男で王国屈指の美男子。
宮廷では女子達の憧れだが、家庭しか顧みない男。
それがジョルジュである。

だが彼は優男に見えて国内屈指の剣の腕を持つまでに成長している。
お供としては申し分ないが、彼の身分は王配であり大公なのだ。

「やあ、ユリアナ・・・行こうか」
「い、いいんですかっ?!、お父様!!」

慌てるユリアナにジョルジュは爽やかな笑みを見せる。

「女王陛下のご下命だよ、だからいいんだ」
「お母様ったら・・・」

ふくれっ面しながらもユリアナの目尻は下がり、にやけ顔になりそうなのをなんとか押しとどめる。
実は彼女は結構重度なファザコンだったのだ。
ジョルジュを独占できるので嬉しいのである。

「よかったんですかいお袋…?あんな男を同行させて…」
そんな2人をカーテンの隙間から見下ろすユーリアに向かい…背後のガウェイが呟くように聞く…

「ジョルジュの剣の腕は一流だは…ユリアナの護衛としてはうってつけの人物と言えるんじゃない?…」
確かに彼は優秀なる剣者…大公という身分さえなかったら、ユーリアも迷うこと無くジョルジュを任命していた筈だ…

「やだぁなーお袋…そういうことを聞いている訳じゃありませんよ…」
「それって何が言いたいのかい?…」
「それゃあ決まってるじゃないですかぁ…いくらあの男が短小な上、性弱であったとしてもお袋の唯一のお相手…、そんな男を手放してしまってよかったのかと、皆心配しているんですよ…」

「まぁ!、どうしようかしら!」

わざとらしい声を上げたユーリアは後ろ手にガウェイの股間を撫でる。
その動作にガウェイはウッと唸り腰を引いてしまった。

「息子達に慰めて貰おうかしら・・・」
「冗談でも止めてくだせぇ、お袋・・・」
「あら?、息子達の筆下ろしは全員してあげたでしょ?・・・何を今更なのよ」
「それとこれとは別ですぜ・・・」

コロコロと楽しげに笑いながらとんでもない事を言うユーリアにガウェイは困った顔をする。
この女王に性のタブーは全く無い。
ジョルジュにユリアナを抱けと言うだけあって、息子達とする事も躊躇する思考は無いのだ。

「ジョルジュはユリアナを抱いて子の2,3人でも孕ませれば、男としてもっと立派になると思うの・・・ユリアナだってきっといい女になると思うわ」

ユーリアのジョルジュに対する想いは配偶者と言うより息子のようだ。
実際、年齢差は親子に近く、ジョルジュの母はユーリアより少し上程度だ。

だからジュルジュに対してはどこか息子のように接していた。
そしてジョルジュの方もユーリアを母親のように思い接していた。
今回も旅立ちのジョルジュを同行させたのも、ユリアナだけでなくジョルジュも独り立ちさせるためのものでもあった。

「しかし、もしものことを考えると危険すぎますぜ」

ユリアナは女だから貞操は奪われても命まではとられまい、しかし男のジョルジュはあっさり殺されてしまうだろう。
剣の腕が立つといっても場内だけの話で、実戦経験など皆無だ。
幼い頃から母とともに修羅場をくぐったガウェインの目から見たら、ジョルジュなど案山子も同然だ。
しかし、ユーリアの答えはあっさりしたものだ。

「その時はその時よ、運が無かったとあきらめるだけよ」

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