PiPi's World 投稿小説

既に詰んだ領主に転生した男の物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 12
 14
の最後へ

既に詰んだ領主に転生した男の物語 14


「はぁ…はぁ…あぁ…あなた、すっごく良かったわぁ…」
「…はぁ…はぁ…わ…私も…です…」
絶頂が去った後も私達は繋がったまま、お互い余韻に浸っていた。
「ウフフ…先にイかされちゃうなんて…ちょっと悔しいわね…♪」
そう言って彼女は可愛らしく微笑んだ……その時だった。

 ガサガサ…

「「…っ!?」」
とつぜん近くの茂みの中から音がしたのだ。
「だ…誰かそこに居るのか…っ!?」
慌てた私が声を掛けると、ガサッ!と先程より大きな音がして、人影らしき物が茂みの向こうへと逃げて行った…。
そんな…!!
誰かに…見られた…だと…!?
私は一瞬、頭が真っ白になった――――。


 ‡ ‡ ‡


現実で死に、ファンタジーの世界に転生し、そこで第二の人生を送るというのは良くある事だ。
僕、クリストファー・ド・ウェストリーニ子爵(10)も今、それを体験している。
でも僕が転生した世界は、僕が思い描いていたファンタジー世界と少し…いや、だいぶ違った。

そもそもファンタジー世界と言えば“中世ヨーロッパ風”と漠然とイメージするが、この世界の文明レベルは、前にいた世界で言う所の“中世”というより“近世”に近かった。

“近世”とは、どのような時代か…
例えば僕の生まれた国フェルシオン王国で言えば、絶対的な権力と権威を持った国王と各地方の領主である貴族達によって国内は平穏無事に治められ、各市町村同士は整備された街道によって結ばれており安全に行き来する事が出来る。

かつて神の名の下に権威を欲しいままにしていた“教会”の力は衰退し、それと入れ代わるように各国の“王”が力を持ち始め、それまであまり意識されていなかった“国”という枠組みが大きな意味を持つようになった。
それに伴い、中世の頃は単に“王の同盟者”といった性格の強かった各地方の領主達は、次第に王に忠誠を誓う“臣下”となっていき、王族の下に“貴族”と呼ばれる階層を形成した。

また、国土の半分以上を占めていた“森”が開墾され、国全体が拓けて養える人口が増えて、人々の暮らしも安全かつ豊かになった。
都市に人が集まり、肥大化した街は城壁の外にまで広がり“都会”を形成した。

ちなみに僕が今いるのは父の書斎…ほとんど使われていない部屋だ。
ここには色々な本があるから、第二の人生の舞台となるこの世界についてもっと詳しく知りたいと思い、主に歴史書などを中心に数冊ほど引っ張り出して読んでみたところ、判明した事実が上記の数々である。

…どうもこの世界、前にいた世界と似たような歴史を辿っているようだ。
こりゃあそのうち産業革命でも起きるんじゃないだろうか。
あれ?
でもその前に確か何かあったよな…何だっけ?

「んん〜……ダメだ。思い出せない」
こんな事なら歴史の勉強もうちょっとマジメにやっとけば良かった。


そんな事を考えていると…
 キィ…
書斎のドアが静に開いた。
「ヘヘヘ…ここなら大丈夫…って坊ちゃん!?」
「やあ…」
したり顔で部屋に入って来たのは屋敷で働くメイドの一人で、名前はアニス。
年の頃は20代の半ばといった所か…メイド達の中では中堅ぐらいだ。
だがこのアニス、何かと不真面目ですぐ仕事をサボる。
まあ基本的には悪い人間じゃない。
実は彼女、よく僕の遊び相手(※エッチな意味ではない)になってくれるのだ。
よく屋敷の庭園で遊んでいたら、サボっている彼女とバッタリ鉢合わせしたりして、そのまま一緒に遊び始めたり…

…ってダメじゃんそれ!
仕事してないって事じゃん!
このヤロウ(?)今まではこっちが何も分からない子供だと思ってイイ気になりやがって!
だが前世の記憶が覚醒した僕は、もう今までとは違うのだ。
もう安いお菓子で騙されたりはしない!

アニスは言う。
「お願い坊ちゃん!メイド長に追われてるんだよぉ…匿ってぇ〜?」
「うん、良いよ!」
僕は即答した。
だってそうだろう?
美人に泣き付かれて断るなんて…男じゃないじゃないか。
ちなみに我が屋敷で働くメイド達は全員文句無しの美女・美少女だ。
メイドの採用条件に容姿も考慮に入れられているのだろうか。
父と今は亡き祖父は良い趣味をしていると思う。
僕は机の下を指差してアニスに言った。
「とりあえずこの下へ…!」
「オッケー!サンキュー坊ちゃん!恩に着る!後でお菓子あげるよ♪」
「お菓子なんかよりもっと良い物をもらうよ♪」
「はぁ…?」
「とにかく中に入ってて…!」

アニスが机の下に潜り込んで身を隠した直後、再びドアが開いてメイド長のアンナが姿を現した。
「アニス!追い詰めましたよ!ここに隠れたのは分かっているので……って坊ちゃまぁっ!!?」
「やあアンナ…どうしたの?そんなに怖い顔をして…」
「あ…あらやだ…私ったら…まさか坊ちゃまが居られたとは露知らず…申し訳ございません」
そう言って丁寧に頭を下げるアンナ。
「構わないよ。アニスを探してたの?」
「そうなのですよ!あの娘ったら、また仕事をサボって…もう今度という今度は我慢の限界でございます!こうなったら旦那様に言ってクビにしていただきます!」
いきり立つアンナを僕はなだめつつ労いの言葉をかけてやった。
「まあまあ、そうカッカしないで…アニスを見かけたら僕からも良〜く注意しておくよ。…まぁ、後輩の指導も大変だろうと思うけどさ、そんなに気張らないで…もう少し肩の力抜いて気楽にいこうよ。アンナが頑張ってるって事は僕がちゃんと見て知ってるから…」
「ぼ…坊ちゃま!…まさか坊ちゃまからそのようなお言葉をいただけるなんて…アンナは嬉しうございますぅ〜!」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す