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堕落させまくりっ!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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堕落させまくりっ! 56

「私が帝国から去ったあと、この教団を任せられるとすれば、フレアしかいない」
次の大神官となるべく育てられし者が星詠みの巫女フレアなのであった。
しかし、帝都がおぞましい触手のはびこる魔都となる未来は予知できていなかった。
フレアの予知した未来では、騎士団総長バラドが宰相として就任して、王妃ディアナが女王として君臨することになっていた。
その歴史が失われて異なる歴史となったことを、バラドの国葬で把握して、大神官ヴァレリアに伝えなければならないとフレアは考えた。
歴史が何によって歪められたのか、また再び同じ未来へと続くのかわからなくなった。
フレアは預言者であったが、皇帝と謁見したときに、本来はなかった混乱した帝国の状況を視てしまった。しかし大神官ヴァレリアが再び帝国に帰還するのも同時に視たのである。
勅命で始まりの国に派遣されたのも、本来の歴史にはなかった出来事であった。
航海の途中で、大異変は起こった。
フレアは気がつくべきだった。
未来が変化した。
つまり過去が変化した可能性があることを。
海賊たちはある海域に入ることを避けてきた。しかし帝国の海兵たちは、船が遭難する海域など迷信だと考えていた。
異変が起きた時、フレアを乗せた船はその海域を横断して、始まりの国へと進んでいた。
「こんなことが……」
甲板で海兵が言葉を失った。
青空に届くほど高く、海水を吹き上げながら海上を竜巻が船に迫ってくる。
天候は良好。微風。
その条件で竜巻など起こるはずがない。
「うわあああぁ!」
甲板にいた水兵は海に叩き落とされた。
船は竜巻によって巻き上げられられ、水兵が海に叩きつけられる前に消滅した。
それを見た直後、水兵は空中から水面に叩きつけられた衝撃で意識を失った。
「気がついたかね……」
フレアはベットの上で目ざめた。
(ここは……航海していて船が激しく揺れて)
「まあ、お茶でも一杯どうかね?」
どこかの貴族の館のようだ。
船室の壁に叩きつけられて気絶したらしい。
「船は?」
「残念ながら壊されていたよ」
「他の水兵は?」
「君は運が良かったが、他の連中は運がなかった。餌にされてしまったよ」
説明によると、空から降ってきた船は森に落ちた。森の植物は蔦を絡ませて船を破壊。
中にいた人間で動いていた水兵は、蔦に絡まれて穴に引きずり込まれた。
気絶していたフレアは船の残骸が隠していたのか、植物に察知されずに朝を迎えた。
夜間は蔦や根で狩りをする森の植物は昼間はおとなしいため、夜中に物音がしたので見に行ったら、フレアが落ちていた。
「だから、拾ってきたというわけだ」
(人を物みたいに言うのは、気にくわないけれど)
「ありがとうございました」
「礼はいらない。聞きたいことがある。どうやってこの島に君は来たのかね?」
「よくわかりません」
「ふむ、なら、どうやって帰るのかね?」
「……」
フレアはティーカップを傾けてお茶を飲む初老の男性をまじまじと見つめた。

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