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堕落させまくりっ!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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堕落させまくりっ! 6

現在の貴族は廃して、反帝国の活動者から選出された新貴族の議会で王を中心とする合議制の政治を宮廷で行うには帝国宮廷の保守派貴族を暗殺することで、現在の宮廷の要人たちを従わせる。
そのことは理解できていない平民でも、武芸などにそれなりの腕前があれば、暗殺や破壊活動をすることでそれなりの活動家のような気分でいた。
資金調達のためと脅迫や強盗まがいの行為をする者が帝都にも現れ、騎士団の騎士は帝都の猟犬と言われたが、治安維持のために追放された者やなんとなく活動家を気取っている者たちを捕縛したり処刑した。
妖術師と騎士団では呼ばれる男は、どんな思想がある者であれ、相手次第で法外な治療費を要求することもあり、無償で治療することもあった。シルヴィアの治療の時は自分の命を担保にした。
そのためテロリストたちの組織からも、敵か味方か判別できない男だが、仲間に加えようとする者も少なからずいた。
男は活動組織には賛同せずに、各地を旅を続けた。それでも治療の腕前からか、元聖職者の指導者たちからも一目置かれているため、特別な名士として扱われてきた。
騎士団からの追跡を逃れて、男が旅を続けられたのは、そのためである。
革命運動の流行が起きる前から海賊家業を生業としてきたシルヴィアなどからすれば、活動組織の連中は、なわばりを荒らす素人であった。
騎士団の構成人数もこの騒ぎに対応して毎年増え続けており、帝国全土の治安維持にまで活動を展開。騎士団と海賊や盗賊は敵対関係である。反帝国組織は騎士団と海賊、盗賊と敵対している。
反帝国組織の名士の一人を女海賊シルヴィアが密航の手伝いをしているのは、今の情勢からすればおかしな話だが、情勢も無視して大切な恋人を逃がすという意味ではおかしな話ではない。
治療を受けた者やその親族は恩返しで、男の逃亡を手助けしたのであった。
女騎士シーラは誰であれ思想や立場も関係なく、男を追跡するためなら手段を選ばなかった。
「それがあんたの理想なの?」
「魔法の治療を神聖教団の専売じゃなく、技術を身につけた技師が自由に行えるようにするんだ」
男と船旅をしているシルヴィアは、今の帝国では認められない理想を聞いて驚いた。
治療や祈祷などを行い寄付金を神聖教団は活動資金にしている。さらに教団から献上される金は、帝国の財源ともなっている。
その金の流れを変えようとする男は帝国と教団の敵対者として狙われて当然である。
「これを渡しておこう」
「これは何?」
「もし、俺がいないときに発作が起きたら、左目の眼窩に数滴分だけ塗り込むんだ」
それは紫色の媚薬であった。
「発作で欲情したのを中和してくれる」
薬の作り方を書いた巻物と薬の入った小瓶をシルヴィアはもらった。
「なんもない女性には毒だが、シルヴィアなら悪用しないだろう。あと、もし、同じような媚薬で中毒を起こしている人がいたら、薬を与える量をだんだん減らし、薄めていく。詳しいことはこれに書いておいた」
「あたしでも作れるの?」
「料理より簡単だ」
本来は教団が他の宗教の信者を薬漬けにして、改宗させるための毒物だったこともシルヴィアに教えた。
それは帝国建国の隠された秘密だった。
この薬で貴族たちの中で兵力のある領主たちを操り、または兵士に投与して戦争で勝利した。
「とんでもない薬だね、これは……」
「俺がそばにいてあげられたら、これは必要ないだろうが、すまん……」
男が頭を下げた。
シルヴィアは、そっと男の頬を撫でると優しくキスしてから耳元で囁いた。
「帰ってきて。死んだら許さない」
海を渡り、帝国領から離れて何をするのかはシルヴィアは聞かない。
「ああ、帰ってくる。死んだら魂だけになってでも帰ってくる……」
その約束だけでシルヴィアの胸は熱くなる。
男を隣国の地へ降ろし帝国領の港街でシルヴィアを待っていたのは、女騎士シーラだった。

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