PiPi's World 投稿小説

堕落させまくりっ!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 31
 33
の最後へ

堕落させまくりっ! 33

「私が子を産んで旅立つ前に、エミルを連れてくれば呪いを解いてあげよう」
女騎士にして退魔師のマーター種族の末裔シーラは、ハウエルに言った。
「本当にできるのか?」
「彼女ならできるよ」
アゼルがそう言った。アゼルの表情から笑顔が消えているのにハウエルは気がつかない。
「連れてくれば、だ。できるか諜報員」
「やってやる」
アゼルはハウエルの心がエミルのもとにあると気づいてしまったが、あきらめきれない。
「することが一つ増えたわね」
アゼルはため息をついたあと、作り笑いをしてハウエルに言った。

19
「くそっ、このままじゃ、殺られる」
魔獣の触手を剣で斬っているが、斬ってもすぐに再生して、触手を鞭のようにしならせて、激しく襲いかかってくる。
体力が尽きたらそこで終わりだ。
逃げるべきチャンスはあったが、いけると思い敵の攻撃範囲に踏み込んだ。
その結果、敵の本体まで触手の攻撃をしのいで近づいて体内の魔晶石を奪い破壊するしかない。
見た目は大壺からウジャウジャと触手が口から這い出ているマヌケな魔獣だが、壺がかなり硬い。剣で攻撃しても、キズやひびも入らない。
同じ形状の魔獣と戦ったことがあるが、そのときは一撃で壺が砕けて中から魔晶石が転がり出てきた。うっかり魔晶石を踏みつけたら砕けた。
魔晶石を採取するために戦っているのに、砕けて消滅してしまったらたまったものではない。だからといって下手に手加減して殺られたら、魔獣の餌にされてしまうのである。
生きるか死ぬかとなったら、生きるために魔晶石をあきらめて魔獣を破壊するしかない。
しかたなく、懐から呪符を取り出して、壺の表面にどうにか貼りつけた。
しゅーしゅーと耳障りな音をさせて触手が溶け崩れていき、ただの頑丈な古壺が残った。
「中身は残ってないか……」
壺の中を覗きこんで、ため息をついた。
ここは帝国から西の海を渡った先の島国である。
異文化の国であり、金貨のかわりに魔晶石という宝石が通貨のように流通している。
魔晶石は魔獣を討伐することで入手できる。
質の良いものほど価値が高い。
島の各地にある迷宮にいる魔獣を討伐する。
魔獣は生物というより魔法仕掛けのゴーレムのようなもので、魔晶石によって動いている。
収穫は古壺だけだったので、持ち帰ろうか持ち上げようとしたが重く、チッ、と舌打ちしたハンターは呪符の残り枚数を確認すると地上に戻ることにした。
傷の治療も必要だと判断したのだ。
「おかえりなさい」
しっぽを振りながら頭の獣耳を立てた少女が小走りで駆け寄ってきた。
「なんで勝手に出歩いてるんだ……わっ!」
ぴょんと跳び上がり、抱きついてきた少女を抱きかかえてやる。
頬をすりよせて幸せそうに微笑しているのを見ていると怒る気が失せてしまった。
戦いで疲れてイライラして八つ当たりだったのかもしれないと少し反省する。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す