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堕落させまくりっ!
官能リレー小説 - ファンタジー系

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堕落させまくりっ! 32

「ギルディアスは狼人でも白銀の狼族。白銀族は金狼族と本来は同じ退魔師として活躍していた種族なの。だから、マーター族の血と融合することで、金狼族の娘が生まれるかもしれない」
「そんなことがありえるのか?」
「私は貴女のことはどうでもいい。貴女の子に興味がある。産んで殺されたら、貴重な種族が失われることになる。それだけは避けたい」
「そうか。私の産んだ子をどうするつもりだ?」
「生きていれば自分で道は選ぶものでしょう?」
「そうだな」
「貴女も今は生きて、その子がかつての他の獣人族のように道を踏み外すことがあれば、その時は母親の貴女が殺せばいい」
「……私はまだ死ぬわけにはいかぬ。やるべきことがあるのだ」
「ギルディアスの娘の海賊を捕らえること?」
「そうだ」
「それは私たちに任せて。貴女はその子を無事に産んで戦える体に戻らないとね」
「捕らえるのが目的ではない。私は元幹部のある男を追っているのは知っているな?」
「ハウエルから聞いたわ」
「たしかそんな名だったな。あの諜報員」
「その人をどうするつもり?」
「あれは私の獲物、他の者には渡さない」
「行き先の見当はついているわ」
「それは本当か?」
「ええ。あの人は私たちの師匠。私たちにはついてくるなと言ったわ」
「どうするの、私に協力する気になったかしら。それとも、身重の身で追い出されてみる?」
大神官は金狼族である。それは教団幹部しか知らない秘密である。
もし神聖教団と騎士団が合併したとき、味方や切り札となる人物が必要。女騎士シーラと運が良ければ金狼族の子はそれにふさわしい。
「子を産んで体調が回復したら、私はあの男を追う。それでもいいか?」
「かまわない。大神官があの人と一緒にいたら二人とも始末してきて」
「うらみでもあるのか?」
「貴女には関係ないわ」
ハウエルが戻ったとき、二人の交渉や情報交換はすでに終わっていた。
「ハウエル、媚薬を全部出して!」
アゼルが真顔で言った。
女騎士シーラは騎士団の媚薬の製造元や触媒となる呪われた子についてアゼルに話したのである。
アゼルはハウエルに媚薬を使われて呪われた子など産みたくはない。
「本当に全部か?」
シーラが目を細めて言った。
アゼルはシーラから聞いた話をハウエルにも聞かせた。ハウエルは涙目になりうつむいた。
「なんてことだ、エミルは、その呪われた子を産んでる頃じゃねぇか……」
アゼルは受け取った媚薬を持ち黙って教会を出ると、小瓶の中身を海に流して棄てた。さらに小瓶も波間に放り投げた。ハウエルの気持ちを考えるといたたまれなかったのだ。
「自業自得だな。媚薬などに頼れば、呪いと同じで大きな代償を払うことになる」
「俺の子が……ちくしょう」
シーラは自分の腹を撫でた。
もし自分に破魔の力がなかったら、呪われた子を産んでいたはずだ。
ハウエルはエミルのことを忘れたわけではないし、これから生まれてくる自分の子と任務を終えてから会えるのを楽しみにしていた。
ロクサーヌは「流産だった」などと平然とハウエルに嘘をつくのが想像できた。
アゼルは自分が呪われた子を産んでしまうことになったらハウエルはこんなに悲しんで悔しがってくれるか、エミル自分とくらべて考えてしまうのだった。

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