PiPi's World 投稿小説

堕落させまくりっ!
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 28
 30
の最後へ

堕落させまくりっ! 30

王妃と退魔師以外は誰もいない執務室で密談している。王妃は若い退魔師と話すときは、他の者たちに対しては見せない部分を見せることがある。
「王妃様は国母となられるか、女帝となられるかと群臣たちが噂しています」
「悲しみのあまりに、喪に服すべく出家したとすればおかしくはないのではありませんか」
「たしかに未亡人となった貴族階級の女性が出家することはありますが、皇子様も連れて出家なされるわけにはいかないのが残念です」
教団が未亡人と遺児を受け入れることがあるが、後継者不在の国にするわけにはいかない。
そうなれば配下の貴族たちが独立して群雄割拠の内乱が起こりかねない。
「そうですね。もし国母や女帝となっても、こうして話せるとよいのですが……」
「お望みであればいつでもお呼び下さい」
退魔師はそう言うと、にこりと笑った。
王妃は退魔師を抱きしめたい気持ちをこらえた。胸がざわめく。皇帝に対しては恋をしなかったが、王妃は年下の退魔師に恋をしていた。
「貴女が皇子の妃となれば、私と後宮で暮らしていてもおかしくはありませんね」
「聖職者は婚姻を禁ず、という戒律があります」
「では、やはり、私と皇子で出家するとしましょうか。今すぐにでも」
「困りましたね」
二人はくすくすと年の離れた姉妹のように笑い、穏やかな時間を過ごした。
騎士団総長バラドが王妃に手を出せないのは、媚薬の効果を治療する退魔師が王妃にはついているからである。星詠みの巫女はそうしたことも考えて、退魔師を後宮に派遣していた。
後宮に派遣されていることはアゼルも知らず、神聖教団内でも星詠みの巫女しか知らない。
星詠みの巫女は大神官不在の間、教団の頭脳というべき役割を行っていた。
また、王宮には瞬間移動の魔法陣がある。
それは皇帝や王妃などの王族しか知られていないが、退魔師はそれを使う許可を与えられた。
これを使用して帝国各地の祓いや討伐を行っているので、後宮に通っているとは他人に気づかれにくい。
瞬間移動の魔法陣は主要都市の近くにある。ただし北の監獄は魔法陣では行けない。
かつて教団で祓いや討伐は、神聖教団の師範役であったある男の役目であった。
その男の弟子では、アゼル、星詠みの巫女、退魔師の三人だけが幹部として教団に残った。他は騎士団に討伐された。

18
四人の弟子たちは、大神官失踪後、教団を離れ反帝国組織を結成。その影響で、ニセ反帝国組織の盗賊団が現れたのである。
四人の弟子は帝国の各地にある封印を解除することにしたのだった。
星詠み巫女と騎士団総長バラドはそれを阻止するために協力した。
封印を解除されると邪神が覚醒する。
封印解除なより、どんな大厄災をもたらすかは、星詠みの巫女もはっきりとはわかっていない。しかし、騎士団や神聖教団は神祖と呼ばれる者が作った大結界を守護するのが本来の目的である。
神祖の末裔が皇族だが、およそ七代すぎれば血が混ざりあい純粋な血統は失われてしまう。皇族の根拠は今ではあってないようなもの。大結界を再び作る力を持つ者などいない。
結界が作られていても、魔法はあり呪われた種族や呪われた子は存在する。
結界は完全なものてはなかった。
「我々の世界は他の世界とつながっています。つながっている世界が我々と同じ世界とは限りません。混沌というべき世界です」
騎士団総長バラドと大神官の代理として星詠み巫女が対談した。
バラドは星詠み巫女の説明は理解できなかったが、世界のほころびを利用する魔法については納得した。より強い力を得るために結界を破壊して異世界の力を得ようとする四人の反乱者がいる。
「これ以上、わからない世界になられても困るからな。騎士団は協力する」
バラドはそう返答したのである。
四人のうち一人だけ結界を破壊しようとしなかった者がいる。
それが星詠みの巫女や退魔師、そしてアゼルの師匠である男だった。
大神官と師匠さえいれば、と三人は何度も思ったものである。世界のほころびによる被害の後始末を三人は行ってきた。
大神官はもともと放浪癖がある。そのため七人の幹部のうち実力トップのその男が、教団の大神官代理という立場にあったのである。
その男は海賊シルヴィアの船で失踪した大神官を捜して旅の途中である。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す