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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 74

優雅に朝食をとった後、コーヒーを飲みながらしばらく寛ぐと、列車は竜王都バランに到着した。
地下上水道の水路に、鉄道網の終着駅が秘密裏に作られているのだ。
部外者の人間には知られていないだろう。
帝国は望みさえすれば、いつでも竜王国を攻略できるはずだ。

ドワーフに地上まで案内してもらうと、中央広場の噴水前に出た。
地下から貴公子のような姿の少年が現れたので、周囲の人間が呆気にとられている。
何をどう弁解して良いやら見当がつかないので、少年はそのまま歩み去ることにした。

城の位置は、すぐにわかった。
見通しの良い大通りの突き当たりに建っていたからだ。
町の構造はそもそも戦争を想定していないらしく、大きな通りでわかり易く区画わけされている。
竜王の都は不攻の都。竜王が守る限り、いかなる軍勢も到達することは無い。

「竜王の招きにより、参上した遠藤豊です。案内を願いたい」
「こちらへどうぞ」
衛兵に告げると、すぐに案内された。
控え所で休んでいた衛兵が先導してくれる。

城内の雰囲気は陰鬱だ。
侍女たちは、荒淫にさらされた者特有の虚ろな視線になっている。
服の下に拘束衣を着けさせられている者も多い。

女性機能に支障をきたすような陵辱を加えられたものも居る。
すれ違う女に微かな腐臭を感じ、様子を「視た」少年は、吐き気を催した。
とても見過ごせない惨状だ。フラフラと歩く女の顔色は、死人のそれと同じだった。
手を翳して、神の奇跡で癒してやる。

王座の間に近づく間に、豊の心は決まっていた。
竜王はブチ殺す。と。
牡竜は、自分の女を大切に扱う生き物だ。
だが、竜王は城内の女を具合の良いオナホール程度にしか思っていないらしい。
竜以外の生き物を、ゴミとしか見ない典型的な竜かもしれないが、許せない。

それに、ここには鼻持ちなら無い牡の匂いがする。
剣の村の長老に同じ事を言われたことがあるが、こういう意味だったかと実感が沸いてくる。
なるほど、同じ場所に牡が集まると、必ず殺し合いが起こるわけだ。

王座の間の扉が開いた。
竜王と少年の視線が交差した瞬間、バランの首が落ちた。
豊の殺意が、そのまま結果として現れたのだ。
戦闘行為は一切不要。神を超える少年の力だ。
そしてこれが、竜王国バランの滅びた瞬間だった。

「今後の王国の運営方針は如何致しましょうか?竜王様」
「なぜ、経産竜がここに居る?」
旧王の首から、噴水のように鮮血が迸るのを意に介せず官僚団の長が尋ねた。
少年は、質問に答えず質問を返す。女性官僚が経産竜だったからだ。
香水で誤魔化されるほど、豊は鈍くない。
竜王国のハーレムには、女竜は存在しないというのが通説だ。

「牡竜は国家運営に向いていませんし、弱い牡に抱かれるのは面倒ですから」
事も無げに官僚長が述べる。
経産竜の力があれば、牡を操って興味を消す事が簡単にできるのだろう。

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