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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 8

「クッ、お前たち!」
エリルは唇を噛み締め二人を睨みながら呪文を捕らえる。
「炎の魔弾よ!」
巨大な火球が二人へと襲い掛かり爆発。灼熱の劫火が辺りに飛び散る。
しかし・・・・
「あん? 今何かやったか、餓鬼」
「魔力が足りない。術式の構成も甘い。狙いも中途半端。それでは私たちを殺すどころか傷つけることも不可能だよ」
燃え盛る劫火の中央で傷どころか煤の欠片もなく佇む二人組。
「そうだな。もう一人ぐらい見せしめとして殺しておくか」
赤毛の男がゆっくりと鉄塊の如き大剣を持ち上げる。あれが振り下ろされれば竜の首など容易に叩き割れることぐらいエリルは知っていた。
目の前で両親の首が落ちたことを見ていたから。
「死ね、糞蜥蜴!」
赤毛の男の巨大な剣が罵声と共に振り下ろされる。
――――ギュッと目を瞑り、死神の一撃を覚悟するエリル。

けれど、その一撃は彼女の首に落ちることはなかった。
周囲に響き渡ったのは肉を切り裂く音ではなく金属同士がぶつかり合う激しい金属音。
舞い上がるのは鮮血ではなく土煙とマント。
唖然とする彼女の前には―――――
「だいじょうぶ、エリル?」
「え?」
エリルが呼び出した少年の優しい笑顔があった。

「へぇ。俺様の一撃を受け止めるとは中々歯ごたえのある奴が出てきたじゃねぇか」
乱暴そうな男はニヤリと好戦的な笑みを浮かべた。
それにあわせるように俺も笑みを浮かべ―――

やべやべやべやべっ!今先のは結界があったから助かったけど生身だったらマジでやられた!
どうするどうする、どうするよ、俺!

内心すごいパニックを起こしていた。
映画などでは沢山の戦争ものを見てきたが、実際と本物が格段の差がある。
血の匂い、火の熱、そして死の雰囲気。背筋が恐怖で凍りつき、動きを止める。
それを男は用心深いと思ったのか。
「どうしたそっちからこないのか。んじゃ俺からいくぜ」
宣言と共に男は一気に飛び込んでくる。

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