PiPi's World 投稿小説

竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 60
 62
の最後へ

竜使いの少年 62

「ふふ、聞いて驚け、我が竜族の英知の結晶、竜造人間メカ・ミューゼだ」
目ざとく新入りを見つけた女の質問に、ジョセフィーヌが勝手に代弁した。
赤髪ツインテール女は、ふむふむと頷いて、続きを促した。
噂の収集に長けているだけあって、聞き上手だ。

「神罰執行機として製造されたこれは、少年の神力を代理行使可能だ。彼に代わってスーパーヒロインになる予定だ」
「それは、素晴らしいですわね」
「みゅっ!?」
滔々と解説していると、ミューが助けを感知してテレポートした。
豊はあえてついて行かない。
使い魔の視覚共有をすれば様子はわかるし、いざという時はテレパシー命令で止めればいい。
単独での状況判断と自由意志の性能を試すつもりなのだ。

「どうやら緊急出動だな。見ての通り転移跳躍が出来る。もちろん、神罰の執行もできる」
「まぁ、素敵ですわね。能力などを記した仕様書はありませんの?」
「ふふふ、こんな事もあろうかと、用意しておいたよ」
言葉巧みに誘導されて、ジョセフィーヌは仕様書の束をバサリと取り出した。
どうせ、「こんな事もあろうかと」を言いたかっただけなのだろう。

「これ、頂いても宜しいですか?」
「もちろんだ。少年のため、広報活動に勤しんでくれ」
相手が噂好きだと見て、わざとガードを甘くしていたようだ。
ジョセフィーヌの思惑通り、スーパーヒロインの噂は翌日のミルク販売網で速やかに広がった。

「あ、失礼しました。代弁者様、これが竜王様より届いた書状です」
放置プレイされていた豊に、慌てて手紙を差し出す。
少年は、早速読み始めた。
この世界の文字は、30人の妻との蜜月中に学習済みである。

「出頭命令だ。勝手に私刑をしてる理由の申し開きをせよって」
「ふむ、派手に暴れたから当然だろうな」
「まぁ、大変ですわね」
裁判権の無い民間人が、勝手に悪を裁くと国の秩序が乱れる。
一般市民には好意的に受け入れられたが、王ともなると見逃せないのだろう。
影で、搾乳ギルドが動くように働きかけたのも、要因の一つだが。

「ちょっと、テレポートしてくる」
「待て、ドワーフが先だ。トロッコの地下輸送網もあるから、それを借りろ。返信より先に本人が行くのは、相手に失礼だろ」
「うう、やはりドワーフの相手をしなきゃ、駄目ですか?」
「金貨千五百万枚の借りだからな」
豊はうなだれた。
聞き耳を立てていた赤毛女は、後でミルク売りたちに借金の噂を流すだろう。間違いなく。

「この廃坑がドワーフの鉱山に通じてるの?」
「その通りだよ。連絡しておいたから、出てくるはずだが…」
豊とジョセフィーヌは二人でベリス近郊の山に来ていた。
こんな街から至近の場所に、ドワーフ地下帝国の入り口があるとは信じ難い。

「ハイホー、お待たせしたようじゃな、巡礼者殿」
(ハイホーってベタな挨拶だな)「巡礼者って何ですか?」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す