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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 57

「代弁者とは、中々厄介な奴のようだな」
「ああ、手練の執行部隊がほぼ全滅してしまった」
同時刻、大陸某所の大富豪の屋敷で、二人の男がチェスに興じていた。

かれらは搾乳ギルドの二大巨頭だ。
豊少年に半竜尼の誘拐計画を阻止され、虎の子の工作部隊を失っていた。
実際には、行動不能にされたと言うべきか。
彼がミューゼの名代として動く際には、神罰を与えるだけで殺しは行っていない。

その神罰は、脊髄を脂肪細胞に変性させるという、凶悪な代物だったが。
とりあえず死なない。息も出来るし、物も飲み込める。
だが、声帯が麻痺しているので言葉は話せないし、全身不随の状態だ。
介護の手が無ければ、そのうち餓死するだろう。

神聖魔法を使えば、呪いを解くことが出来る。
しかし、解呪に失敗すると、術者に呪いが感染してしまう。
リスクに見合う法外な報酬を用意するか、ミューゼ神殿に解除を願うしか解決方法は無い。

搾乳ギルドの工作員はミューゼ神殿に泣きつけないので、莫大な報酬しか方法がないのだが使い捨ての方が安くつく。
スラムで子供を拾って、何年か教育するだけで兵隊の出来上がりだ。
食費と時間が掛かるが、計画立てて用意すればどうと言う事は無い。

誘拐計画阻止の報復に、少年を二重三重の罠に嵌めてみたのだが、罠を全て粉砕されたのが痛かった。
話にならない、化け物のような強さと危機感知能力だった。
計略に従事した部隊員も、全員が全身不随だ。
人間でどうにか出来る相手では無いと悟ったのは、遅すぎた。

「活動を休止するか?」
「いや、既に手は打ってある。竜王に、ぶつける」
「なるほど、どちらが倒れても益はあるな」
この決定を悔やむ事になるのだが、それは少し先のことだ。

豊少年のもとに、竜の村の序列16番目のジョセフィーヌが訪問していた。
湖ワーム釣りをした時に、解体作業を手伝ってくれた四人のうちの一人といえば思い出すだろうか。

「何の用なんですか?」
「いとしい夫が、ヒーローゴッコが忙しくて泣きそうだと噂を聞いてな。お助けアイテムを作ってやったよ。少年」
「泣きそうでは無いですけど…有難うございます」
ノイローゼ気味なので、お助けアイテムは確かに欲しい。
こればかりは、人生経験うんぬんで解消できない問題だ。

「では、ジョセフィーヌ・遠藤の用意した、この芸術的作品を御覧あれ!」
「なんで、遠藤って日本名なんですか?」
「ん?私は、夫婦別姓などと無粋な事は言わぬ主義でな」
「ごめんなさい、話を続けてください」
彼女の小ネタに反応するのは、徒労となることを思い出した。
少年を弄って反応を楽しむのが趣味という、厄介な女性なのだ。

「では、改めて見たまえ。我が魔術の結晶を!」
「人形…ですよね?死体じゃないですよね?」
「見覚えのある人なのか?」
ジョセフィーヌに聞かれて、少年はぎくりとした。

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