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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 56

「ハァ。緊急召喚は、今日だけで73件目だよ」
啓示の日から三日が過ぎた夜だ。
既に、乙女の危機に現れる謎のヒーローの噂は、大陸全土で有名になっている。
反救世主は、実はヒーローであるとの噂もあって、代弁者は邪悪ではないとの意見が一般化しつつある。
ただし、代弁者は受け入れられても、宗教改革が受け入れられた訳ではない。
慎重に時間をかけて、改革を進めてゆくしかない状況だ。

乙女による呼び出し頻度は、平均すると15分に1回。
加速睡眠で眠りの不要な状態になっているとは言え、少々辛い。
少年は、常に仕事に追われている気分で、少しノイローゼ気味になっていた。

加えて、三日の間に性欲がたまっているのだが、発散する為の暇が取れない。
行為が丁度クライマックスになる頃に、呼び出しが掛かるのだ。
ヒーローが勃起したまま登場するわけに行かないので、我慢するしかないのだ。
今のところ、ニンフ達と交尾する前のように理性が失われるほど追い詰められてはいない。
影に対抗して気を抜けない状態が、幸いしているらしい。

そして困った事に、反救世主やヒーローの噂で形成された影は、健在だった。
ネガティブだった反救世主の噂は、反動で正反対の属性で全く同じ強さの魔力に変じたのだ。
「不良は、実は捨て猫を可愛がるいい人だった理論」が成立したのだ。
加えて、ヒーローの噂も追加された。
ヒーローの名声は、他の神の信者の信仰も(若い女性限定だが)根こそぎ奪う勢いである。

ミューゼの魔力と、反救世主が転じて救世主の魔力、そして変身ヒーローとしての魔力が豊には宿っていた。
魔王とか、大魔王なんて鼻糞程度の存在にしか感じなくなる超絶パワーである。
界○拳で限界かと思っていた戦闘力が、超サ○ヤ人に進化して、更に超サ○ヤ人2になってしまう位のインフレだ。
幾らなんでも強すぎである。竜変化とか、時間加速だけでも反則なのに。

「もう、全部無かったことにして、家に帰りたい…」
竜のハーレムとか、もう、お腹一杯なのだ。
竜使いとして異世界に呼ばれたかと思えば、竜そのものになり、人生経験を積んだ少年になり、性欲魔人になった。
さらには、中堅宗教の神様に納まったとおもえば、反救世主認定され、今度は変身ヒーローである。

特別な存在になりたいと平凡な少年は祈っていたが、これでは特別すぎる。
特別を通り越して、異常な存在になってしまった。
異常を通り越して、超常の領域に到達するのも時間の問題な気がする。

「今度は何をする羽目になるんだろう?軍事独裁国家の書記長とか…笑えないな」
本当に実現してしまいそうで、頭が変になる。
実は、自分は壮大な夢を見ているだけなのではないだろうか?
それか、エロ小説の主人公とかね。
かなり本質に切り込む考察をした少年であるが、夢落ちはしない。多分。

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