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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 45

「おろかな娘よ。3度の奇跡を目にし、救済の手を差し伸べたのにも関わらず、それを振り払うとは」
人間に戻ったミューゼが宣告する。

「汝を破門します。神の声を聞き誤り、真なる悪魔の誘惑に惑いし堕落の子よ。悪魔と共に永遠の奈落へ堕ちるが良い」
大仰に宣告すると、魔神が現れた。黒いヤギの頭をした、ナイスバディの魔神だ。
何故かオッパイ丸出し。悪魔っぽいイメージで選んだ格好だろうが、すごく間抜けに見える。

居合わせた信徒は、悪魔の出現に驚き怯える。
さすがに、女戦士も自分の過ちを悟って真っ青になっている。

種明かしをすれば、山羊の姉ちゃんはミューゼの茶飲み友達らしい。
とある山の隠れ里で、マイナーな神様をやっているそうだ。
神は信仰される内容に性質を引きずられるので、邪悪な存在でも、祭り上げられると善良な存在になる事がある。
山羊姉ちゃんがモロにそれで、見た目によらず気さくな性格だそうだ。

事前に打ち合わせをしていなければ、豊も混乱しただろう。
エリルやアリスも緊張した面持ちだが、下手に刺激することを恐れて、様子見に徹している。
いざとなれば、女神が何とかすると思っているのもあるだろう。

ミューゼ信仰では、異端が正統となる現象がおきかけている。
勝手に信者が思い描いた女神像が一人歩きして、影と呼ばれる魔力の塊が生成されているのだ。
本来、信徒に神通力を与えていないミューゼ教に、神聖魔法の使い手が現れたのがその証拠だ。

影が強くなりすぎると、表裏が逆転してしまう。
純粋な精神体である神なら、既に書き換えされる段階の進行状況だ。
今のミューゼ信仰どおりの神格に変わったら、四角四面の糞真面目になるだろう。
本人としては、性格や記憶を抹消される瀬戸際なのでかなり切羽詰っているのだ。

悪魔の出現を受けて、神を疑っていた信者の意地は完全に折れた。
これで折れるのかよと少年は思ったが、常識外の事態に直面した人間の反応はこんなものだ。
心からの反省を述べる信徒達を女神は許し、状況は収束へ向けて進みだした。
宗教全般に見られる典型的な自作自演の脅しの図式であるが、見事に効果を上げたようだ。

「本来ならば、姿を現すつもりが無かったのですが、あまりにも異端が蔓延り過ぎました。異端は神の力を損ないます」
そう言って、ミューズは信者を見渡す。
全員が神妙に神のお告げを待っている。

「今後は神の使いである、代弁者ユタカの言葉を、神の言葉として聞きなさい」
「ちょ、ちょっと、いきなり丸投げですか?聞いてないですよ!そんな事!」
「汝に、より重き使命が課せられし事は、承知しております。しかし、そこを曲げてお願いします」
打ち合わせでは聞いていなかった話の展開に、豊は慌てた。
千年以上女神を続けた貫禄で、少年の抗議など物ともせずにミューゼは話を続けた。

「我が信者の信仰の力を託します。この力で異端をただし、正統なる信仰を復活させてください。代弁者ユタカよ」

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