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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 44

そして、少年による風変わりな異端審問が始まった。
審問官はミューゼ信者ではない少年で、審問対象は神の奇跡を行使する聖人。
少年は、ミューゼから確認した教義と、今の教義のずれを指摘した。
他にも女神自身が神通力を与えてないと、断言したことも付け加える。

「信者でない部外者が何を言うか!」
「僕は、直接頼まれて代言しているだけですよ」
「馬鹿なことを言うな。女神様が、男に声をかけるはずが無いではないか!」
巨乳戦士が激昂する。
どこの生まれとも知れない馬の骨に、信仰を汚された当然の反応だろう。

「はいはい、では当事者のご本尊様にご足労して頂きますよ」
そういうと、少年は6個の宝石を床に投げた。
コロコロと転がったエメラルドは、自然に六芒星をかたちどる。

「ミューゼさま、御出でませ」
そう言いながら、アクアマリンの魔力でゲートを作ると女が現れた。
呼び出しの呪文みたいな台詞には、全く意味は無い。
ただの、それっぽい演出サービスのつもりだ。

「はじめまして娘達よ。私が、竜神ミューゼです」
信徒達がどよめく。
自称女神は、気品があるが服装は平民の着る普段着だ。
女神と聞いて思いつくような、半透けのエロっぽい羽衣ではない。
豊は、内心がっかりした。
信徒も「らしくない」格好に衝撃を受けたようだ。

「黙れ!悪魔め!そこの魔術師と結託して、ペテンを掛けようとしても無駄だぞ!」
女戦士が大声で怒鳴る。
話が進まないから、サクッと信じて欲しいなと、少年は思った。

『控えなさい、娘よ。自ら信仰を放棄すると言うのですか?』
脳内に響く声。ぶっちゃけ、単なる念話なのだが、信者は驚いた。
文字通りの神の声、お告げを聞かされたので、歓喜の涙を流す人も居る。

「神の姿を見、声を聞いてもなお信じることが出来ないようなので、第二の奇跡を見せましょう」
台本どおりの合図に従って、豊は砂漠へ通じるゲートを開いた。
信徒達は、疑いながらもゲートをくぐってゆく。

「次は、私の真の姿を見せてあげましょう」
そう言うと、ミューゼは人間形態を解除して竜の姿になった。
半信半疑だった者は、ほとんど平伏状態だ。

『そして、これが神の怒りの力です』
宣言と共に、核撃(ニュークリアブラスト)の魔法を使って見せる。
距離の離れた場所に閃光が走り、キノコ雲が立ち上る。
ぶっちゃけ、神の奇跡ではない。
魔力と才能と経験に恵まれれば、人間の魔術師でも行使可能だ。

豊も、仮想空間の修行で使ったことがある。
現実世界で使ったことは無いが、理論上は問題なく使えるはずだ。
自分も試してみたいが、神の奇跡がホイホイ再現されると問題があるので、止めて置く。

「げ、幻覚か魔術に決まっている。経典にも載っている、悪魔は神の真似をして誘惑すると」
すばらしい石頭振りを発揮する女戦士。
これだけ疑り深いのに、神の存在は疑わないのが不思議だ。

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