PiPi's World 投稿小説

竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 36
 38
の最後へ

竜使いの少年 38

「そ、そんな駄目ですよ。見ず知らずの男を部屋に上げるのは、駄目ですよ。間違いが起きたら大変ですから」
「ん?なに?間違いを起こしちゃうような悪い子なの?ボク?」
ウェイトレスは、少年の瞳を覗き込むような格好で顔を近付けてきた。
豊は思わず赤くなってしまう。

「お、起こしませんよ!」
「ん、なら、問題ないね♪尼さんたちも、相部屋にしてもらって良いですよね?」
思わず断言した少年の言葉を受けて、ウェイトレスは強引に話を進めると、食事中の巡礼者たちに話を振った。

「喜んで、受け入れますわ。窮者を見過ごすのは、ミューゼの教えに背きますから」
代表者らしき美熟女が答えた。

「竜神信仰ですか?珍しいですね」
「あら、女神ミューゼ様が竜神様だとご存知とは、そちらの方が珍しいですわね」
「はは、知り合いに竜に詳しい人が沢山いまして…」
竜が知り合いだとは言えず、少年は言葉を濁した。
ミューゼ教団の構成員はほぼ全員が女性。
教団の設立由来から、貞節と慈悲を重視する教義だ。
時代が経つにつれ石頭集団に変化していったので、現在では御本尊様は無関係を決め込んでいる。

(盾の村に、御本尊様が生活してるって知ったら、仰天するんだろうな)
経産竜の間では、ミューゼは処女集団のヘッドとして笑いの種にされている。
もちろん、夫である牡に対しては正体は伏せてあるが。
名前は偶然の一致、または女神の名前にあやかったと嘘を押し通しているそうだ。
本人だとばれたら、1300歳以上であることが知られてしまう。

「失礼ですが、お連れのお二人は竜とゆかりがありませんか?」
「ああ、エリルは…そうですけど。メイドの格好をしてるアリスは普通の人間ですよ」
体質改善を施してから、アリスの体型はメリハリがわずかに増している。
二人とも、搾乳奴隷と間違われそうな体型だ。

「夕ご飯どうぞ。営業時間が終わったら家に案内するから、それまでちゃんと待っててね♪」
「あ、はぁ。有難うございます」
少し会話している間に、食事まで用意されてしまった。
これでウェイトレスの誘いを断るのは難しくなった。

(隠し事はありますが、嘘はついておりません。邪悪でもなく聖でもない、普通の人間です。教母様)
代表者に一人の女性がそっと耳打ちした。
声を潜めているが、竜の聴覚を持つ豊には丸聞こえだ。

「その女性は?邪悪がどうとか聞こえましたけど」
口の中の食事を飲み込んで、少年が質問した。

「大変失礼いたしました。この者は神聖魔法の使い手でして、無礼ではありますが邪悪検知と嘘検知を使用させて頂きました」
「神聖魔法ですか?ミューゼの力で?」
魔術的には、ありえない話だ。
聞く限り、ミューゼは眷属に神通力は与えていないはずだ。

(アンドレアさん、盾の村の処女神について質問なんですけど、いいですか?)
(あら、坊や。どんな内容かしら?)

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す