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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 30

「すみません、泊めてもらえる所を探しているんですけど」
小さな集落の雑貨店で、20代後半くらいの女店長に話しかけた。
少し早い時刻だが、無理をして進んで野営をするのは避ける事にしたのだ。
店番で家に滞在する時間が長いためか、田舎の人間にしては色白できれいな肌をしている。

道中集めた大量の食材を宿賃にすると、二つ返事で了承してくれた。
正式な宿ではないが、たまに行商人を泊めているらしい。

豊は猪の皮をはいで手早く肉を切り分けた。
女店主はその肉を夕食用に一部分を取り分けて、残りは店頭に商品として陳列している。
エリルたちは夕食の準備をすると言って、家に入っていった。
少年は猪の皮をなめしながら、店主と雑談を楽しんだ。

猪の肉は川魚や果物、薪などと物々交換されていった。
他には籠や炭などの物々交換で集めたものを、定期的に夫が町まで運び、薬や農具、衣服に換えてくるらしい。
店頭に無い品物は、あらかじめ予約をすれば取り寄せられる、典型的な田舎の店だ。
「みんな現金を持ってないから、あまり儲からないんだけどね」と苦笑するが、窮乏するほど貧困に悩む者はいないようだ。

農作業から店主の夫が戻って来るのを待って、夕食が始まった。
牡丹鍋になったのだが、山で採取した強壮効果のある薬草も野菜代わりに入ったので、みんな汗をかいている。
家の主は予期せぬご馳走と、美人の客二人に浮かれて上機嫌だ。

夫が色目を使うたびに、女店主のナリサのコメカミに青筋が浮いているのだが、鈍感な彼はそれに気付いていない。
豊も、内心穏やかではいられない。
自分の女を守るため、間に入って杯が干されるたびにワインを継ぎ足して話し相手になる。

「俺は、本当は吟遊詩人に成りたかったんだよぉ」と、家の主はリュートを弾き始めた。
聞くに堪えない下手糞なので、家業の雑貨屋を継いで正解だ。
豊はリュートを取り上げた。
中々よい品のようだが、調律がずれている。

音を合わせて、軽く弾き始めた。
竜神ファブニルの冒険を歌った英雄譚だが、物語の8割が濡れ場と言う問題作である。
かなり古い歌なので、歌詞の言葉遣いを現代語に修正して編曲しながら演奏する。

主人には大好評だった。
「燃えてきたぜぇ!」と言いながら、秘蔵の蒸留酒を取り出してきてラッパのみしている。
下穿き一枚になって粗末なチン○を勃起させているので、女性達には露骨に嫌がられていた。
妻に避けられてても気付かない、典型的な駄目男である。

あっという間に男は酔いつぶれて、高鼾をかき始めた。
完全に場の雰囲気が冷めてしまったので、宴会はお終いとなった。
ナリサが後片付けをしてくれると言うので、豊は瞑想することにした。

瞑想と言いつつ、実際はテレパシーでの通信だ。

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