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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 23

「時間が無いから魔法を使うわよ。『ストロベリータイム』!」
「な、この呪文は?!」
刹那の永劫、竜時間(ドラゴンタイム)の使い手でなければ使用不能な超圧縮泳法だ。
魔術を受けて、少年の意識は真っ白な光の中に飲まれてゆく。

「ふふ、驚いたかしら?」
「度肝を抜かれた感じ。かな。長老は、竜の領域に入れるのは僕だけだと言ってたから」
ベッドルームからログハウス風の小部屋に移動している。
裸のはずが、着衣状態になっているのも不思議だ。

「竜はね、産まれながらに竜の時間を体得しているの。ただ、物心がつくまでに忘れるだけ。そして母親になった時、精神感応でそれを思い出すのよ」
「まさか他の経産竜も使えるとか?」
「牡の知らない秘密だけどね。エリルもテレサも6ヵ月後には、レディと限られた殿方だけの秘密クラブに仲間入りよ」
フフフと笑いながら、ローズは茶器を虚空から取り出した。
豊は驚いたが、そういうカラクリかと納得もしていた。
自分が竜の時間を使えたのも、変化した時=竜として誕生だったので、使えて当然の現象なのだろう。

「僕以外にも領域入りできる牡は居るんですか?」
「牡は下半身で物を考えるから、覚醒する前に殺しあって全滅よ。去勢されずに1000年くらい生きれば、再覚醒できるのに」
牡の生存競争の激しさが垣間見える話だ。
多くの牝を囲う集落の長の座は栄光の座に見えるが、破滅への落とし穴なのだ。
周囲に迷惑を掛けず、うらまれず、日の当たらない千年間を孤独に過ごして、初めて勝利条件を満たす。
一般的な牡竜では、実現不能の条件だ。
ごく稀に現れる竜神は、怪我の治療で数百年眠り続るとか、そんな偶然が必要になる。

「ところで、交尾はしないんですか?残り時間がなくなりますよ」
「あら、まだ気付いてないの?ここは仮想空間よ。加速時間の世界だから残り時間は365日。二人きりの新婚生活を楽しみましょう」
ローズはにっこりと微笑んだ。

それからの生活は、概ね平凡で平和だった。
ローズは豊を姉のように可愛がり、母のように叱り、教師のように教え、妻として愛した。
少年には夫としての自覚が足りなかったが、外敵が存在しないのでそれが問題になることも無かった。
少年が一方的に甘える、少し歪な夫婦関係ではあったが、二人の相性はぴったりだった。
「お姉ぇちゃーん」
「なぁに?豊ちゃん」
こんな感じで甘々の1年が過ぎ、目覚めの時が来た。

「気分はどう?」
「身体が鉛みたいに重い」
体感で1年に及ぶ仮想生活の影響なのか、射精疲れなのか不明だが、しゃべるのがやっとだ。
15分間結合して精液を注がれたローズの腹は、ぽっこり膨れ上がっている。

「さぁ、ご飯を食べて力をつけて」
「…だるくて食欲が無いよ」
仔に餌を与える要領で噛み砕いて、口移しで流し込む。

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