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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 18

夢心地になった豊は、抵抗する様子を見せず長椅子で眠り始めた。
普段の性格なら、恥ずかしさに全力で逃げ出すシチュエーションだ。
頭を預かった少女は、膝で眠る少年の髪をそっと撫でてみた。
さらさらして気持ち良い。
さりげなく触れ合って、男に慣れる機会を与えてくれた母に感謝である。

「起きて下さい、勇者様」
パーティーの始まる時間が近付いたので、起こさなければいけない。
手放すのは、かなり名残惜しいが仕方が無い。
現状で膝枕の権利を持つのは、召喚契約を結んだエリルなのだ。

「ああっ、ゴメン。すっかり眠ってた」
豊はあわてて起き上がった。
テレサの案内で、エリルの隣の主賓席に座る。

「アリスは来てないの?」
「竜とは馴れ合わないって、家で拗ねてるよ」
「そっか。料理を詰めて弁当にして、後で差し入れてあげないとね」
「長老が手配してたから、届いてるんじゃないかな」
仲良く話す二人を、羨ましそうにテレサが見つめる。
竜なのに引っ込み思案な彼女は、召還儀式を辞退したのだ。
実力のあるエリルが権利を獲ただろうが、何もしなかった自分を恨む。

「皆のもの、静粛に!」
長老が声を上げると、さざめく様な雑談がピタリと止まった。

「我らが集落は度重なる外敵の襲撃を受け、テオドアを失う事となった。昨夜も襲撃が実行されたのだが、皆も知る通り婿殿の働きにより、撃退に成功した」
会場が拍手に包まれる。
豊は慌てて立ち上がって、皆にお辞儀をして拍手に応えた。

「ここで竜に変化する秘術の実演を、行っていただきたいと思う」
再び会場に拍手が巻き起こる。
「ほれ、この龍精丸をグイっと飲んで、変化してくだされ」と、丸薬を押し付ける長老。

(リハーサルさせて欲しいよなぁ。効果が無かったら赤っ恥だよ)
内心で毒づきながら、丸薬を飲み込む。
胃の中で溶岩のように煮えたぎる熱が発生して、そのままズドンと睾丸まで落ちてくる。

「龍態」〈ドラグム〉!!
昨夜の変身と違い、体の中から湧き出てくる精気が変身を引き起こす。
外面のみの変身だった昨夜と違い、体の内側から構造変異が始まる。

「うあぁぁぁ!熱い!」
胃と腸がうねり、消化中だった味見料理が瞬く間に消化吸収される。
吸収された栄養はそのまま翼や牙、鈎爪に変化する。
材料不足に起因する飢餓感を満たすために、豊は料理を貪った。
突発的な大食い大会は5分ほど続き、完全形態になってようやく終了した。

「落ち着きなされ、婿殿。慌てると体を損ないますぞ。変身を解きなされ」
満腹になって正気に戻ると、長老の必死に呼びかけに気付いた。
ゆっくり変身を解くと、筋骨逞しい体に成長している。

「思わぬハプニングが起きましたが、御覧の通り。これが、新たな卵をもたらす婿殿です。卵の祭りの開催を宣言します」
長老の宣言を受けて、ワアッと異様な熱気が巻き起こる。

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