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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 17

僕を取り巻く環境は、何か隠された意図によってすこし歪んだ状況にある。
疑心暗鬼になると、この世界全てが陰険な罠で構成されている錯覚に襲われてしまう。

何か、信頼できる事柄は無いのか?
エリルとアリスを信用する。僕の女だから。
ドラゴン的発想だなと苦笑いしてしまうけど、ネガティブな僕には良い薬だ。

アリスの第一印象は最悪だが、エリルより先に彼女と出会っていたら別の印象を持っただろう。
一方のエリルは、貴方に尽くしちゃいます♪と言ってくれているが、一族の利権を守るための芝居かもしれない。
どちらを信じる?という二者択一は選択肢からはずす。

片方に肩入れすれば、もう一方と対立する。
行き着く結末は竜と人の最終戦争になってしまうだろう。
村人がアリスを受け入れたのは、そんな配慮が働いたのか。

「ま、考え過ぎてしまっても駄目か」
豊は一応の結論を得て、考えるのを止めることにした。

村人が頻繁に出入りしている建物を覗いてみると、祭り会場らしくテーブルセッティングの終わった宴会場になっていた。
村人全員を集めても収容能力に余裕があるホールは、質素な村に似合わず豪華だ。

「あら坊や、こっちにいらっしゃい」
飾り付けをしていた女性が手を止めて、豊を手招きする。
誘われるままに近づくと、そのまま席に座らせられた。

「味見して貰いたいから、ちょっと待っててね」
しばらくして料理運搬台と何人かの女性を伴って戻ってきた。
彼女が押してきたワゴンには、沢山の料理を小分けに盛った皿が何枚もある。

「いきなり祭りが決まって仕込み時間が短いんだけど、味はどうかしら?」
「はい、あーん」と料理を差し出しながら尋ねてくる。
まろやかな辛味の串焼肉だ。

「辛さがおいしいですね。香辛料のブレンドが絶妙なのかな」
「素材自体の味よ。沼ワームの丸太肉を毒抜きして、丸焼きにしただけ」
原料は先ほど空輸されるのを目撃した巨大肉だろうか?
沼ワームという名称が気になるけど、生きている状態を想像するのはやめて置く。
巨大ナマコの串焼きだと思えば良いじゃないか。

「噛んだ時に舌に痺れを感じる物が有ったら言ってね。人間には刺激が強いものもあるから」
そう言いながら、豊の顔色を観察する女性達。
犬や猫に韮や玉葱が毒になるのと同じ理屈なのだろう。

(モテるって気持ち良いなぁ)
入れ替わり立ち代りアーンされ、甘やかされ可愛がられ、夢見心地だ。
実際には、女子高に迷い込んだ子犬と同じなのだが。
全ての料理の味見が完了し、満腹になった少年は、あくびをした。
料理の薬効が体をほかほかと暖めるので、眠くなってきたのだ。

「あらあら、眠くなったみたいね。テレサ、彼に膝枕して差し上げなさい」
餌付けのお姉さんが、遠巻きに様子を窺っていた美少女を呼びつける。
彼女はエリルの異母姉妹だ。
栗色の髪と抜けるように白い肌を持つ彼女は、異母姉に負けぬ可憐さを誇る。

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