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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 16

「人間は臆病で嘘吐きだから、自分自身にも嘘をついて裏切って、それを正当化してしまうんだ」
以前の僕はいじめられていたけど、一度も嫌だと主張したことは無かった。
自分に正直に、竜のような生き方をしていたなら、きっと違う生活を送っていた筈だ。

「話を逸らすな!私は、竜が嫌い!農場から家畜を盗む竜が嫌い!女をさらって犯す竜が嫌い!戯れに麦畑に火を放つ竜が嫌い!」
「ハグレ者の悪行を理由に、全ての竜を否定するのは止めて欲しいですわ」
「犯罪者は取り締まるべき!野放しにするな!」
「竜にはその要請は通じないよ。報復する権利があるのは、蹂躙された被害者だけだから」
アリスとエリルの対立は、人と竜の価値観の違いによって引き起こされている。
豊はどちらも理解できるだけに、いずれの意見も選びがたい。

「とりあえず、アリスがエリルを憎むのは筋違いだと思う。エリルはアリスに迷惑を掛けた竜では無いから」
人と竜の双方の法に照らしても、この結論は正しいはずだ。と、豊は思った。

重苦しい空気に耐えられなくなった豊は、散歩に出掛けていた。
勇者、救世主と呼ばれても、救う世界について知らなさ過ぎたという反省もある。
それに、長老の言っていた卵の祭りにも興味があった。

多分、開催を発表したタイミングからして、エリルと僕の卵の誕生を祝うものだろう。
ケーキや菓子を焼く香ばしい匂いや、肉料理やスープなどのメインディッシュを調理する香りが漂ってくる。
直径1メートル、長さ3メートルの丸太のような肉を抱えて飛ぶ竜を見ると、異世界であることが実感できる。

(しかし、見れば見るほど巨大料理だらけだなぁ)
卵を産んだ後のエリルの食欲も凄かったが、お姉さま方も健啖家に違いない。

エリルといえば、交尾の後から雰囲気が変わったような気がする。
取って付けたような丁寧な言葉遣いが消えているし、名前も呼び捨てに変わってた。
気を許してくれた証拠かもしれないが、この事を指摘したら元のギクシャクした雰囲気に戻ってしまうかもしれない。

「うん、黙っておこう」
今の関係が心地よいから、壊したくない。
しかし、彼女と僕の関係は何なんだろう。
嫁さん?って、僕は何を考えてるんだ。入籍もまだなのに。
そもそも、婚姻届とか結婚指輪はこの世界にも存在するのだろうか?

結婚と言ってもアリスも居るしなぁ。重婚OKなんだろうか?
僕にとって彼女は、メイド妻?単なるメイドだとちょっと寂しい。
良く考えたら、彼女の事は何も知らないんだよな。
いきなりレイプして、奴隷にしてしまったけど。

良く考えたら、滅茶苦茶無理な展開じゃないか?これは。
村の人も、何故か平然と受け入れてるし。

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