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竜使いの少年
官能リレー小説 - ファンタジー系

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竜使いの少年 14

「た、たまご?」
「ほら、さわってみなさい」
仔竜が産まれると思い込んでいた豊は、あっけにとられている。
恐る恐る触れてみると、ホカホカと暖かく弾力がある殻だ。

「半日で殻が固まって、孵化場に埋めて半年で孵化するの。産まれたての雛はぴぃぴぃ鳴いて可愛いわよ♪」
「精気に満ちた良い卵じゃ。強い仔が産まれるのは間違いないじゃろ。正午から卵の祭りを開くので各自準備するように。ゴリム達は手間を掛けてすまぬが、卵を孵化場まで運んで埋めてきてくれ」
長老の声で群集は解散した。

「卵を産んだら、お腹ぺこぺこになったよ」
家に帰ると、エリルは食べかけのトーストサンドを強奪した。
胃の中にモヤモヤした物が溜まってるような冴えない気持ちだったので、豊は大人しく朝食を譲った。

「それでメイドさんや、お主らが村を襲った理由を話してくれぬかの?」
朝食を追加しようとしたアリスを制して、長老が質問した。

「『星界より訪れし魔』から竜神の宝具奪取を命じられたから」
「それは何者?」
「神の選別され、捨てられた存在。異界の迷子やイレギュラーで発生した規格外の存在」
「いきなり話が重くなってきたなぁ。救世主様とかおだてられて来てみれば…」
部外者の豊からすれば、そのナントカの魔も被害者のように思える。

「良いとか、悪いとか、人間的な感情での判断は無意味じゃぞ。神にしてみれば、庭の手入れで雑草を抜くのと同じ事じゃて。創造主として庭に相応しくない物を引き抜くのは、当然の権利であろう?」
「引き抜いた後に、戻れないようにちゃんと処分してくれれば良かったのに」
竜の価値基準は、敵と味方、牡と牝の2軸が基本なので、ドン引きな意見を吐くことがある。

「ともかく、奪取を試みる『星界より訪れし魔』は、神器の秘密を知っておるようじゃな」
「どんな秘密があるんですか?」
「伝承にな、竜を束ねる竜使いが全ての神器を手にした時、神威執行の大権を得ると有るのじゃよ」
「僕が竜使いって事になるのかな?」
「然り。しかし、婿殿が竜に変化できるとすると、計画修正が必要じゃな」
さりげなく豊の呼称を『婿殿』に換える長老。
気付かぬ間に、逃げられない泥沼に嵌めるつもりらしい。

「竜身変化に何か問題があるんですか?」
「竜はライオンやゴリラのように一体の牡を中心にハーレムを作る生き物でな、牡が縄張りに侵入すると必ず殺し合いになるんじゃよ。乳臭い人間の婿殿ならフリーパスだったのじゃが、今は鼻持ちならない牡の匂いがプンプンするからの」
ヒヒヒと下品に笑う長老。

「あれ?この村には長老以外にも何人か男性がいますよね?」
「ぐ…。去勢されたら牡では無くなるからの。エリルの父に敗れて、妻も娘も全て寝取られてしまったのじゃ」
男泣きに泣く長老。哀れなり。

「牡でないなら、長老が出向いて回収すれば?」

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