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大淫者の宿命星
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大淫者の宿命星 21

両親に会ったこともない。
幼い頃に、亡くなったと聞かされていた。
彼女は一人っ子だと思っていた。
兄や妹がいるらしいことを知ったのは、ずいぶんあとになってからだった。
「私は小学校を、5年間しか行ってないんだ。あと、山の中にいたから、小学校に行くまで、他の子と遊んだ覚えはないし」
高校を卒業したあと、成人式まで再び老婆と山の中で暮らしていた。
成人式は親戚の家のあった地域の式典に参加した。それからは、霊媒師として活動している。
山からも離れて、親戚の家のあった地元からも離れて、一人暮らしをしている。
「親戚だと思ってたら、ちがってた。お祖母様の信者の人の家だったの……」
養女ということになっていた。
「私にとって本当の親族ってお祖母様しかよくわからない。お祖母様のいう一族が卑弥呼の時代から続いているとしたら、すごくたくさんの子孫がいるはずで、遠い親戚もふくめたら世界中に何人ぐらいいるかなんて、わからない」
俺はその何人いるかわからない一族の女性たちであれば、誰とやっても、孕ませても、好き勝手にしてもよいと言われたのだった。

ハーレムすぎる。
俺の姉がそれを知ったら、俺を監禁しようと彼女と手を組みかねないな。
「私やお祖母様……女王卑弥呼も神子であったと伝えられているわ。
外国にも、もちろん神子はいたの。神子が女性とは限らないことがよくわかるわね」
外国にもいた神子、それは誰かと言えば宗教関係者は激怒するはずだ。
人の子ではない、神の子……。



神の独り子はただ一人。
ナザレのイエスのみ。
すべて神の御霊に導かれし者は、すなわち神の子であるという考えかたならば、かろうじて許容範囲かもしれないが。
「宗教的な考えかたの違いで、もめたりしないのかな、霊媒師って……」
「たしかに男性の神子って、イエス・キリストだけしか記録に残っていないものね」
なぜ、女性の神子が多く、男性の神子はイエス・キリストしかいないのかは、彼女にもよくわからないそうだ。
ただ女性の神子は、大淫者からセックスをして霊力を得ることが可能だけど、男性の神子の場合はどうしていたのか。
「ねえ、俺と出会う前には、霊力の補充ってどうやってしていたの?」




「瞑想。お祖母様みたいにパワースポットを見つけてそこで暮らす人もいるわ」
瞑想しても、ちょびっとしか力は補充されないから、大変らしい。
「なるほど、誰とセックスしても補充できるわけじゃないんだね」
「そうなのよ。だから、いつも一緒にいてね」
彼女はそう言うと俺の手を握った。


神子までの力はないが、それなりに力のある能力者はたくさんいるはずだ。
じゃあ、俺みたいに霊力を贈ることのできる奴もいるんじゃないかと考えた。
「俺はパワースポット?」
「それ以上の存在ね」
夕食で俺がカレーを作るために彼女と買い物に来ているのである。
いつも外食しているわけではない。
俺は一人暮らしをしている頃、たまに料理といっても簡単なものぐらいは作ったりしていた。彼女は料理は作らない。
「お肉とか何でも平気なんだよな?」
「お坊さんとかじゃないもの」
「そこはおもしろいよな」
俺は安売り豚肉か鶏肉にするか迷っていると、彼女がやたら高そうなエビを持ってくる。
「ブラックタイガーの冷凍エビがあるだろう。こんな高いの使ったら、外食のほうが安上がりになりかねないじゃんか…… 」
彼女の部屋には炊飯器がない。
だから、ごはんだけはレトルトの電子レンジに入れるやつを買った。
電子レンジと冷蔵庫はあるのに、炊飯器はない。自炊してない証拠だ。


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