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大淫者の宿命星
官能リレー小説 - ファンタジー系

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大淫者の宿命星 22

霊媒師の一族のことはさておき、主夫として最近がんばっている俺。
「おいしい!」
彼女がカレーを食べてにっこりとする。洗濯や掃除はがんばっても、これほどの反応はない。やっぱり、喜んでもらうと、やりがいがちがう。
「結構、辛口なんだけどな」
「私、もっとからいのでも平気だよ。あ、サラダもおいしいね」
彼女と二人で作ったカレーを食べている。
なんかなごむ。
「ばあちゃんといるときは、めしとかどうしてたの?」
「山菜を茹でたのばっかり食べてたよ」
「肉とかは?」
「肉とか魚は食べない。あとたまに果物とか食べてたよ。あのね、マクドナルドで初めてビックマック食べたとき、すごく衝撃的だったもの」
彼女のくいしんぼうのルーツは、あの老婆と暮らした頃の精進料理の反動か。



彼女が夕食を済ませて「いってきます」と仕事に出かけていく。夜九時。洗いものをすませて、俺はすることないので携帯ゲームで遊んでいた。
「課金しないと限界だよな、これ」
彼女にあらゆる生活費を出してもらってるので、以前はちびちび課金して遊んでいたが、同棲してからは無課金で遊んでいる。

俺は彼女との暮らしを満喫している。
もて余した時間があり、生活費の心配がない。
もともとスポーツの趣味はない。
彼女以外との会話がない。
それは、なんとなくSNSサイトの掲示板で雑談していると、気にならなくなってきた。
恋愛目的や下心がないと、気楽にレスを返せるので誰とでも、荒らし以外なら話を合わせるのにあまり考えなくてもいい。
浮気願望のない主婦ってこんな気分でSNSサイトを楽しんでいるんだな、きっと。


山ガール、森ガール、歴女、腐女子。
そのときどきで、女性をトレンド化するフレーズがしかけられて流通していく。
家ガール、つまり、家がテリトリーの女性ということだが、なら俺は家系男子か。
家がら出るのはコンビニぐらい。あとは家事に必要なもの、たとえばトイレットペーパーやシャンプー、あと俺の飲み物とかを調達する買い物ぐらいで、遠出は彼女に連れられて行くのみ。
オナニーは彼女がしても射精は禁止と言われているので、我慢している。
運動不足にはならない。むしろ、同棲前よりもどことなく体は引き締まったかも。
彼女が帰宅して「誰か来てたの?」と言われることがある。彼女の留守中に、援助交際の女性やいわゆる神待ちのプチ家出した人とセックスしたりはしていないので「来てないよ」と返事する。
そんなときは、SNSで誰かの相談とかを受けていたり、メールや無料通話で話していたときで、浮気ではないと彼女に説明する。
「幽体は来てたってことね」

彼女によると携帯電話は声がほぼリアルタイムで声が届くために、一緒に幽体が来てしまうことがあるらしく、さらにメールなども言霊というもので、念が込められてしまうこともあるそうだ。
「私、仕事に出かけるとあなたに忘れ物したときぐらいしか、電話したりメールしたりしないでしょ?」
「うん」
「それは、うっかり幽体とかあなたのところに帰ってきてたりしてたら、法術とか失敗したりしちゃいそうで、こわいからなの」
いわゆる生き霊ってやつで、本人には自覚なしで霊体だけが別の場所に行っていることがあるのは、昔からよくある話らしい。

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