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賢者ルシャード
官能リレー小説 - ファンタジー系

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賢者ルシャード 7

「僕も少し興味はあるんだ。あなたが何なのかとか、どうして姉さんの体に入ったのかとかね」
「なるほどね。でも、そっちの女よりこの女のほうがいいし、剣に封じ込められるなんて嫌よ」
「召喚の儀式だなんて知らなかったんだよ」
「いるよね、女心をもてあそんでおいて、責任を取らないで利用する男って」
フェイランの表情がけわしくなる。
「女心をもてあそんで?」
その瞬間、シルヴィアが大剣を大きくふりかぶって、一気に降りおろした。
フェイランが気絶して床にうつ伏せに倒れた。
ゆっくりとした足取りで、シルヴィアが魔法陣から出てきた。
「結界解除。いい武器ね、これ」
術者を動揺させた隙に、魔法陣の結界を破壊したのだ。

「そこの気取った生意気な女は気絶しているだけだから、心配ないよ。
こんな結界で閉じ込めようなんて、十万年早いのよ。まったく、なめられたものね」
姉の本音なのか、憑依した何かのどちらか、よくわからないことを言って近づいてくる。
「ぼうや、まだ契約の儀式が途中でしょ?」
ルシャードが姉を催眠から解放して眠らせようと呪文を詠唱しようとした。
「また閉じ込めてもいいけど、この女と融合しちゃうかもしれないよ。
ぼうやは、それでいいの?」
「融合?」
「ええ、かなり相性いいみたい、ふふっ」
髪をかきあげて、にっこりと笑う。
ルシャードは頬を撫でられて、後ずさりすると姉シルヴィアを催眠を解除して眠らせた。
「しっかりしてください。フェイランさん」
「うぅっ、ルシャード様、ご無事でしたか?」
シルヴィアは鞘に収まった剣をしっかり抱いたまま、穏やかな寝顔で眠り込んでいる。
「ルシャード様、祓いの儀式は失敗してしまい、誠に申し訳ありません……」
「いや、こちらこそ、とにかくフェイランさんが無事でよかった。ケガはない?」
「はい。ルシャード様」
「フェイランさん、召喚儀式について教えてほしい。憑依したやつが、よくわからないけど契約の途中だと言ってたんだ。
どういうことなんだろう?」
「それは……」
フェイランは躊躇してから、召喚した精霊を使役するには、器の巫女と性交する必要があると話した。
「なんだって?」
ルシャードは祓いの儀式に失敗した。
つまり姉と精霊が融合するか、姉と交わり契約を結んで使役するかしかない。
「融合すると、どうなるんですか?」
「それは……」
小精霊でも融合すると人間ではなくなる。
古代の戦士は本来、そうして発生したモンスターを討伐する者たちだったと伝えられている。
「神話や伝説に登場するモンスターになる?」
「……いえ、モンスターよりもっとおそろしいものになるかもしれません」
フェイランが、何かを決意して安らかな寝顔のシルヴィアをにらんで言った。
「血のつながった肉親でも、世界の秩序と平和のためにしていただきます!」
「フェイランさん?」
「な、なんでしょうか?」
「顔が赤いし、耳まで真っ赤です」
「ルシャード様、私だって恥かしいです。でも、それしか方法はありません。
融合したら、おそらく討伐できません」
「融合した姉が人間と敵対するとは限らないと思うんですが……」
「いえ、人間はモンスターにとって餌のようなもの。やがて滅亡することも」
「滅亡、ですか?」
過去に催眠で修道女たちに手を出していた神官が、それでは飽きたらずに、貴族令嬢に手を出した。
貴族令嬢に精霊が憑依したことに気がついてなかった神官が、教団にすべてを自供して命ごいをしてきたことがあった。
令嬢は幼女で憑依したのは力を持たない水の精霊で、それでもスライムに変化した。
召喚者を求めて、修道女たちを襲った。
襲われたのは神官が手を出した女性たち。
異端者として神官を拘束した。
その神官を餌にスライムをおびよせて教会ごと焼き払った。
「生命力を奪われた女性たちについての記録は残されています。それからは、器の巫女を作り出す秘術は禁忌として破棄されたのです」
教会に潜入したスライムは召喚者を生きたまま溶かそうとした。
ルシャードが召喚したのは火、水、風、土の四大精霊ではなかった。
四大精霊であれば、破邪の剣に吸収されるはずだった。
しかし、吸収されるどころか、その剣の力を使い、たやすく結界を破壊した。

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