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賢者ルシャード
官能リレー小説 - ファンタジー系

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賢者ルシャード 4

ルシャードは鞄からそっと催眠の魔導書を取り出した。
催眠の魔法で人の恋心だけを消せるのか。
催眠中の記憶だけを消すこと。
催眠で記憶とすりかえること。
催眠で痛みなどを消すこと。
行動をさせることの注意点について。
……恋心を消す方法という記述はない。
さすがに姉とはいえ、勝手に心を操ることはいけないことだと思う。
しかし、自分の姉を慕う気持ちが家族の愛情なのか、異性に対する恋心なのかわからなくなくなって、困惑していた。
あらゆる感覚を操ることができる催眠の魔法だが、恋心を芽生えさたり、恋心だけを消す方法はないようである。
恐怖を植えつけることはできる。
ルシャードを見て恐怖を感じるようにすれば、恋心は消えるかもしれない。
でも、それはシルヴィアらしくない。
そんな姉を見たくない。
シルヴィアが動物が子離れするように、弟離れする方法はないか。
自分に彼女ができれば姉があきらめるかもしれない、となかなか思いつかなかった。
その思いつきを確認する方法は簡単だ。
「彼女ができたと言われたらあきらめますか?」
と催眠中に質問するだけでいい。
強制的に恋心は消せないが、確認はできる。
眠っていても、一度催眠の魔法をかけた人に術をかけて質問することはできる。
「さっそく試してみよう」
夜中、足音をできるだけさせないようにルシャードは姉の部屋に行った。
夜這いをするような緊張感である。
シルヴィアは部屋の扉が開いた時に人の気配に目は閉じているが気がついていた。
騎士としての習性。
浅い眠り。短時間でも体と精神を休ませるための眠りを身につけている。
だが、寝ぼけている。
寝たふりをして敵の人数を把握する。
近づいてきたら攻撃をしかける。
暗い部屋で全裸姿でシルヴィアは獲物を狙う猫のように、緊張しながらじっとしている。
任務中ではないのに。
「ルシャード・ギルセイバーの名において命じる……げほっ、げほっ……」
服の襟元を羽交い締めにされ、首を絞められかける直前にかろうじて間に合った。
ルシャードは危うく絞め落とされて気絶させられるところだった。
窓のカーテンを開くと、月明かりが姉の部屋の中を照らし出した。
「……」
ルシャードはベットの上でしゃがんでいる姉の姿を見て息が止まりそうになった。
呆然となり見とれていたが、何をするために姉の部屋に来たか思い出した。
「ベットに仰向けになって、攻撃しないで」
「……はい」
命令に従い、姉がベットに寝そべる。
ルシャードは外の月を見ながら質問した。
「もしルシャードに彼女ができればあきらめますか?」
「いいえ」
「なぜですか? 」
「泥棒猫なんかに大切なルシャードを奪われたくありません」
キッパリと言い切ったので、思わず驚き、振り返るとシルヴィアの色白のなめらかな柔肌や豊満な乳房や淡い色の乳首や引き締まったウエストや股間の恥毛まで月明かりで見えてしまった。
「そのときはどうするつもりですか?」
「わかりません。とにかく泣きます」
「仕事中に手紙で知らされたらどうですか?」
「信じません。その彼女に会わせてほしいと返事を書きます」

姉につかみかかられたばかりなので、会わせたらどうなることか心配になった。
今夜はもう質問した記憶を消して、催眠状態を解除しようとした時だった。
「私を召喚したのは、ぼうやなの?」
シルヴィアがベットから起き上がると、ルシャードを見つめて言った。
「召喚?」
ルシャードが姉とは違う声に驚いたが、すぐに催眠を解除する呪文を魔導書を見ずにすらすらと詠唱した。すでに魔導書に記されている呪文は完全に暗記しているのだった。
「私をまた封じるつもりなの?」
シルヴィアが艷やかな微笑を浮かべてルシャードに近づいて唇を奪った。
呪文の詠唱が途中で妨害された。
シルヴィアの舌がルシャードの口の中に入れられて、舌を絡めてくる。
「ふぐっ、ううっ、んっ」
それだけではない。
ルシャードの股間のあたりを服の上から器用に撫でまわしながらキスを続ける。
魔法の知識や才能は優れていても、十五歳の少年には濃厚なキスと愛撫である。
「ふふっ、ぼうやなのに、こんなに勃起させちゃって……もっと感じて」
力が抜けて床に座り込んでしまったルシャードの腰の上に跨がったシルヴィアが囁く。




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