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悪魔の花嫁
官能リレー小説 - ファンタジー系

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悪魔の花嫁 1

 …ようやく……この時が……迎えに……愛しの………花嫁……

 朝日が窓から降り注ぎ目をつぶっているのが難しくなった頃ベッドからゆっくりと起き上がる。それが私ミイネ=ルルイッドの朝の日課だ。
「うっ…くーー。ふぁあ。まだ眠いなあ。」
そして私は朝がとてつもなく弱いのである。
「ったくもう少し早く起きろよなあ。」
そんな声をかけてきたのは幼馴染のキッツだ。ちなみにいうと私たちは17歳。しかも家は隣であって、今こいつがここにいるのはおかしい―ということを理解した脳は
「でてけっ!!」
の叫びとともに枕をキッツの顔面に投げる。
「ってぇ!!」
見事に顔面にヒットした枕はキッツを部屋から追い出すという役割を終えてドサッという少し重そうな音を立てて床に落ちた。

   はぁ。よかった、出て行ってくれて。

 ここ最近私は毎晩悪夢を見る。
 赤紫の瞳の男と交わる夢…
毎晩夢の中で目覚めると暗く、蝋燭が何本か部屋の隅を照らし、家一軒分ぐらいの広さの部屋には壁との隙間がないくらい大きなベッド、真紅の薄い肌かけ。
「花嫁…迎えに…迎えに…もうすぐ…。」

そう言いつつ少し長めの前髪で左目を隠した男は前髪からかすかにのぞく赤紫の左目と右目で私を見つめる。
そして私にキスをする。
「んっ…んふ、くちゅ…」
夢の中だからなのか私は抵抗できない。
そんな私とあの男との深い深いキス。
バサッ
キスしながらベッドに押し倒される。
息が苦しくなるほど、長い長いキス。
「ふっ…」
酸欠で頭がぼうっとしてくると男のほうが名残惜しそうに唇を離す。
「んっ、あっ…」
そうすると男は体のあちこちに口をつける。首をなめ、指を口に運び、手で乳をもてあそび…
そのたびに私の体は反応してしまう。嫌で嫌でたまらないのに酸欠な頭と悦楽を求める体が止まらない。
そして…自分が何をされたのかも分からなくなる頃、私は果てる。
目を覚ます。本当に夢だと思うが、朝起きると私のアソコはぐちゃぐちゃになっている。

それが今の私の毎日だ。
そしてもう一つ気になること。それは左の鎖骨のところに生まれつきある薔薇の形をした痣。
ここ最近、痣はどんどん大きく、濃くなっている。

 淡い青い痣。子供の頃はたんぽぽの花くらいの大きさだったのに最近、いやここ数日で気がつくと本物の薔薇、それか椿の花ぐらいの大きさになっていた。あまり他の人には見られたくないものの、結構お気に入りだった。だが大きくなるにつれてお気に入りというよりは不気味だと思うようになってきた。色も淡いとはもう言えない、薄いとはいえ群青色になってきた。

無意識に痣に手をやる。パッと見ただけでは変化は分からないものの、また薔薇が大きく、濃くなったという事には確信がある。

「おい、ミイネ!着替え終わったのかよ!」
扉の向こうから唐突に飛び込んできた声に驚くと同時に我に返る。
「そ、そんなこと気にしないで!」
考えていたことがコトなだけに口がしっかり回らない。

いけない、そんな事よりも着替えなきゃ。


 着替えて扉を開けるとテーブルの上にはパンやらスクランブルエッグやらがのった皿が並んでいた。私、ミイナ=ルルイッドは七歳のころから一人暮らしである。そのため、炊事などの家事全般はソツなくこなせる程度にはできる。自信だけがあるのではなく、まぎれもない事実だ。しかし…
「キッツ!!また準備したのっ?」
「まあね〜。」
そうここ何年かは休日になるとキッツは私の家の食材を使って朝ごはんを作って待っている。そしてそれはおいしい。
 キッツはこっちが色々な意味でイライラしているにもかかわらず、あろうことか『普通』に席についてご飯を食べ始める。
 「ごめん、少し冷めちゃったっぽいね。」

「ううん、おいしいよ。」
 そんな事を言われたって…それはキッツのせいではなく、部屋でボケッとしていた自分のせいだ。
 私はキッツの事が好きだ。小さいころに親を亡くして村の子たちに『不吉だ』とか『怖い』とか言われても守ってくれたキッツ。遊んでくれたキッツ。こんなに頼れる存在はキッツ以外私は知らないし、なによりこうやって一緒にいることが幸せだと思う。告白もしていないのにバカバカしいとは思うけれどもやっぱり幸せ。
 で、そんなキッツに手料理を振舞いたいと思っても
  …先に作っちゃってるんですよね〜
バタバタしている時にはやっぱり嬉しいし、ありがたい。でも…
  これじゃいけないだろ私!!!
とも思うんだよなあ…。

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