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魔王と勇者の逆転物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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魔王と勇者の逆転物語 3

「は、救済? 親友の奪還?」
「やはり、混乱するか・・・」
目の前で軽く混乱する清二を見ながら彼女は困った笑みを浮かべる。
「あの〜・・・それが、俺の死んだ理由なんですか?」
「半分はそう。 しかし、もう半分は違う。 つい昨日、此処とは別の所に一人の人間の魂がやって来た。 その魂の持ち主である人間は、死ぬまで後一週間は生きるはずだったのだ」
困惑顔で聞いてくる清二に、彼女はカップを見つめながら冷静な口調で喋り始める。口調も、先ほどの事務的なモノに戻っている。

「それに対して私の親友であるフレイヤは、その事を詫びようと自分の神殿にその人間を連れてきた。 だが、いくら此方(神側)のミスで死んだとしても、ソイツには転生する資格はなかった・・・」
「・・・」
部屋に響く、事務的な彼女の声。彼は、黙って耳を傾けている。
「何故なら、その者は生前に悪行ばかりを行ってきたからだ。 そんな者には転生の資格はない」
「何で・・・ですか?」
冷たく断じる彼女に、清二はついつい聞いてしまう。人間誰しも興味を持ったら、知りたいと思うのが通常である。

「得点ゲームみたいなものだ。 普通に生きていたのであれば50点から60後半、その間の点数であればまず地獄にいく事はない。 間違った行為なら一点マイナス、良い行為なら一点プラスっといった感じだ」
「はぁ・・・」
彼女の説明に清二は曖昧な返事を返す。
「そして、その得点が80点以上であればその者は転生する資格を得る。 言っておくが、50点から60点後半の者も転生は出来るが選択権は無い。 生き物だったり、無機物だったりとランダムに決まる」
「なるほど」
彼女の言葉に、清二は納得し手を叩く。
「それで、その者の点数だが・・・・マイナス100点だ」
「・・・・・はぁっ!?」
彼の間抜けな声が部屋全体に木霊する。
「ふふふ・・・やはり、そんな顔になるか。 その者が辿った人生をプロフィールする紙があるのだが、私もソレを見た時は思わず呆れを通り越して、逆に清々してしまったよ」
カップを持ちながらクスクスと彼女は笑う。

「そいつは唯我独尊を地で行く者でな。 常に世界は自分を中心に回っていると思い込み、他人には礼儀を払わず上から物を言う態度を取る。 学生だと言うのに、学校には一日も通わず自室で引きこもり、一度外に出ればカツアゲ等を行い金銭を得、その金を使って娯楽の限りと尽くす。 物を盗んだりするのも日常茶飯事だったらしい、警察には一月で10回は世話になったようだ」
「・・・」
彼女から出る言葉の数々に、彼は口を開けて呆然とするしかなかった。
一体全体何処をどうしたらその様な人格になるのか、問い詰めたくて仕方がない。

「そ、それで・・・ソイツはどうしたんですか?」
「ソイツが先ほど言った人間だ。 幾ら地獄行きが決まっているとは言え、ミスで殺してしまった事にフレイヤは罪悪感をかんじていてな。 ソレで謝りにいったのだ・・・だがっ」
カップを持つ手がプルプルと震えだす。よほど強い力で握っているのか、カップにヒビが出来た。
「ソイツはあろう事か、フレイヤを犯し堕天させた! いくら性欲に奔放な奴でも、互いの合意がなければ決して行わないっ。 奴はただ純粋にソイツに謝りたかっただけなんだ・・・」
「・・・」
プルプルと体を震わせる彼女。清二は、そんな彼女を無言で見つめていることしか出来ない。

「すまない。 見っともない所を見せたな」
「い、いや・・・そんな、気にしないでください」
アレから数分、体を震わせていたブリュンヒルデは先ほど同様、事務的な口調で彼に謝る。
「まぁ、確かに俺でも少しはムカッと来ましたが・・・」
「自分の死んだ理由が無い、か?」
コクリ、と頷く清二。此処までは、その者の事と彼女の親友についてしか話されていない。
自分が死ぬ理由が、まったく話されていないからだ。

「お前が死んだ理由・・・それは、お前の考え方やその魂だ」
「俺の考え方に・・・魂?」
言われ、考え込む清二。彼女に言われた事に対して、どう反応したら良いのかが分からない。
「ふふふ、そう考えるな。 まず、お前の考え方だが・・・お前、生前は良くテレビや本では、主人公側ではなく敵側をよく応援していただろう。 もちろん、心でだ」
「! そうですね」
彼女に言われ、体を少しビクつかせる清二。
「敵も何らかの事情や都合、歩んできた人生の裏側にはきっとそうなった、そうならずはいられなかった理由がある、と何時もお前は思いソレを考えながら日常を生きてきた」
「そして、魂だ。 これは、見つけた時は驚いたよ。 今の世の中、生きている人間の中でこれほどまでに美しく綺麗な魂は見たことは無い。 努力をする者の魂は実に美しい」
「は、はぁ・・・どうも」
目の前で絶世の美女に褒められれば、誰だって照れるものだ。現に彼も頬を赤く指せ、ポリポリと掻いている。
「それで、私はお前を転生させるのに値するとしてお前を殺し、此処に連れてきた。 恨みや憎みはあろうが、此方の都合を優先させてもらうが・・・良いな?」

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