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剣の主
官能リレー小説 - ファンタジー系

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剣の主 2

伝説によれば、建国の女王イルシャ・ルーナは、イルシャ王国の前身である、とある王国の舞姫であった。
だが、ある時。当時海洋神セポイ神殿に祭られていた聖剣を引き抜き、剣の精霊に導かれ、当時腐敗を極めていたその王国を打倒し、現在のイルシャ王国を建国したのだ。
以来聖剣は建国の女王イルシャ・ルーナの名の半分を受け継ぎ、現在でもこのイルシャ王国の神宝として祭られている。
建国の女王イルシャ・ルーナと聖剣の精霊アルトリアの伝説は、五百年の時を経て半ば神話のベールに包まれているが、だからこそ彼女たちの伝説は、セイルたちこの国の少年少女に憧れと共に語り継がれているのだ。
(あれ・・・でも変だな?)
「たしか聖剣ルーナは、女王イルシャ・ルーナの死後。彼女と共に王墓に封印されたハズじゃあ無かったけ?」
伝説によれば、聖剣の精霊アルトリアは、死後も主たるイルシャ・ルーナと共に有る事を望み共に眠りに就いたハズだ。
「まあ!セイル様は、イルシャ様や私の事をよくご存じですの?」
「う・・うんまあ・・・君と女王イルシャ・ルーナの伝説はこの国では有名だから・・・」
アルトリアは僕の言葉に凛々しい顔を少しだけ崩し、喜びの表情を浮かべる。
「左様ですか!先代の主は女性ながら、真に偉大な勇者で御座いました!我が名もあの方に付けていただいたんです!とても良い名でございましょう?」
「う、うん」
先代の主人である女王イルシャ・ルーナの事を語る彼女の声や表情は、喜びに満ちていて、外見とのギャップのせいか、何だかとても可愛らしい。
「…それでアルトリアさん、話を戻すけれど、イルシャ・ルーナ女王と共に埋葬されたはずの貴女が何故ここに…?」
「セイル様、あなた様は我が主…どうかアルトリアとお呼びくださいませ。私があなた様の元へ参ったのは全て神々の思し召しなのです…」

彼女の話によると、イルシャ・ルーナの死から数百年後、その聖廟は盗掘され、その際に聖剣たる彼女も他の副葬品と共に持ち出されたのだそうだ。その後、多くの人々の元を渡り歩き、今から50年前、骨董品店で売られていた所を僕の祖父に購入されたらしい…。

「…私は私の使い手たる主以外の人間には抜く事が出来ませんので、どの持ち主にも専ら装飾品として扱われておりました」
「へぇ〜、そうだったんだぁ……って、ちょっと待ってよ?それが抜けた僕って、つまり…」
「はい、セイル様。あなた様は二人目の…イルシャ・ルーナ女王以来の聖剣の勇者様という事でございます!」
「え…ええぇぇぇぇ〜〜〜〜っ!!!?」
ドッス〜〜〜ン!!
アルトリアさんから、聖剣の勇者と言われた僕は余りにびっくりしてしまい尻餅を付いてしまった。
「アタタッ!!」
「セイル様、だっ大丈夫ですか!?」
「ありがとうアルトリアさん」
尻餅を付いた僕をアルトリアさんは優しく起こしてくれた。
「でっでも、僕何ですか? 僕が聖剣の勇者なんて信じられないです」
「そう仰られても、わたしを呼んだのは事実ですよ」
聖剣の精霊から。聖剣の勇者といわれた僕は半信半疑であった。
僕の家は代々普通の騎士で勇者や英雄とかを輩出したわけじゃない。
だから、聖剣の勇者という自分の分を超えた使命に僕はどうして良いのか戸惑ってしまう。
「とりあえず、ここでは埒が明きません詳しい事は僕の部屋に行きましょう」
「ええ、お供しますわセイル様」
しかし、このまま戸惑って倉庫にいても何の進展もないのでアルトリアさんから事情を聞くために彼女を僕の部屋に連れて行くことにした。
アルトリアさんもここでは進展がないと感じて僕について行ってくれた。
けれど、僕が聖剣の勇者とはいったい何が起きようとしてるんだ。
何かとんでもない事が起きる気がする。

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