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異色の瞳
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異色の瞳 94

そのとき、宿の2階から「うわぁぁぁぁぁあ」と悲鳴が
響いた。

「今の間抜けな声はセフィルだよな?」
「うん。あの獣人の子がいる部屋ね」
「やれやれ、いこっか」
「そうね」

2人が駆け付けると部屋の中で獣の少女が物凄い形相でセフィルを睨んでいた。
その後ろにはフィウやエレンも隠れている。

「どした?セフィルー?」
「ライム!うわ、お前また男に戻ったのかっ!?いやいや、今はそれどころじゃない!この子、目が覚めたとたん俺に噛みついてきたんだぜー!」
「に、荷物を運んでただけなのよ」


焦るようにフィウも続けた。

「ニンゲン…人間、嫌い!くるな!くるなぁ!」
「わ、分かったから!とりあえず落ち着けよな!」
「ヤルの時と一緒だ…レオナちゃん、レースさん呼んできて!さっき1階に降りて行ったの。ヤルでもいいから!」
「はーい」

まだ幼い獣の少女は爪と牙で必死に威嚇を続けていた。


「ったく、ゼロはどこ行ったんだよぉ。ゼロでも…あっ!お前、ライム!ほら、人間じゃないやつ同士、説得しろよっ!」
「はあ?なんでー?俺やだ…」
「おっま、根性ねーな!」
「セフィルには言われたくないっ!いっつも俺より先にイっちまうくせに!」
「ななななっ!こんなとこで言ってんじゃねぇ!今は関係ねーだろーっ!!」

はっ、とセフィルが後ろを向くと、ジト目のフィウと真っ赤な顔のエレンがいた。

「う…」


セフィルがバカ騒ぎを起こしているうちにレオナがレースを連れて戻ってきた。

「ユーリ!!」
「………。んっ!!!!レースおねえちゃん!!!」

がっと飛びだしてレースに抱きついたユーリ。

「大変!すぐ逃げて!人間、私たち捕まえてる!レースおねえちゃんも、狙われてる!早く!」
「大丈夫、大丈夫よユーリ!落ち着きなさい。」

レースは優しく頭を撫でて興奮を落ち着かせるようにユーリに話した。


「確かに人間は私を…いえ、私たちを狙って追ってきたわ。ヤルも酷いことされた。でもね、この人たちが救ってくれたの」
「え…」

「でも…こいつら、人間…」
「そう、人間。人間は全てが敵では無いの。この人たちは、私たちの敵の人間と戦ってくれるの。仲間なのよ。分かる?」
「なかま…」


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