PiPi's World 投稿小説

異色の瞳
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 106
 108
の最後へ

異色の瞳 108

そこには、金色と蒼色に淡く光る龍の翼を纏ったゼロの姿があった。

「ゼロ様の中の龍が目覚めたのですね…」

レオナが横で言うも、「様」付けで呼ぶ事に違和感を感じた。

「ねぇ…レオナちゃん…」

「…はい」

「ゼロについて教えて…?」

「……残念ですが、私にも詳しい事は良くわかりません…」

「…そっか…」

「でも、ゼロ様の御両親は、龍族にとって無くてはならない方々だったと聞かされています」

「そっか…私、本当にゼロの事何も知らないなぁ…」

「…ゼロ様自身、昔の事は覚えて無いみたいですから、無理も無いです」

「そっかぁ…」

フィウは、そう呟くともう一度月を見上げた。








一方、セフィル達一行はアジトの辺りを彷徨いていた。

「おっかしぃーなぁッ!ここら辺だったんに!」

苛ついたセフィルが大声をあげる。

「確かにあの建物が無い…。何より街並みが変わっている…」

ディークも珍しく苛立っている様子だった。

「多分ね、結界が張ってあるんだと思う。そんな感じって言うか、何となく違和感があるよ」

ライムがそう言いながら、とある廃ビルの前に歩みを進める。

「これとか」

ライムが廃ビルの壁にそっと触れる。

「別に何も感じないけど…?」

そんなライムにセフィルは首を傾げていた。
一方ディークは興味深げにライムの行動を見ている。

ライムが、小声で呪文らきしものを呟くと、青く淡い光が手に宿る。

「ハッ!」

力の籠ったその一言で、青い光は眩しく光り、廃ビルだけでなく辺り一体に拡がる。

「うわッ!?」

突然の閃光に、思わず腕で顔を覆うセフィルとディーク。


「一丁上がり。やっぱり着いてきて正解だったな」

グッと親指を立ててセフィルとディークに笑顔を向ける。

「ぅおッ!マジだ!さっきのアジトが出てきた!ライム、お前凄ぇ〜なぁッ!」

今まであった廃ビル群がなくなって、突如現れたアジト一帯の景色に、セフィルが興奮してライムを捲し立てる。

「これは驚いたもんだ…」

ディークも結界の効果に驚き、感嘆する。

「さて。これからが本番だよ。注意してなきゃ俺でも見逃してたかもしれない様な、高度な結界が張れる相手だ。はぐれて一人になったら歯が立たないかもね」

珍しく真剣な顔で、そう告げるライムに、緊張感が高まる。


「ついでに、今ので多分気付かれてるかもね」

結界を壊した事が相手にバレるのは確実なので、いつ、何が襲ってきても良いように注意を促す。


三人は、慎重に歩みを進めてアジトへと入っていく。

警戒しながら地下へ降りて行くも、何かおかしい。


「静かすぎる…誰も居ないのか?」

セフィルが疑問を口にすると、先頭を歩いていたライムが足を止める。

「結界を張ってたくらいだから、多分まだ居るよ。例えば、そこの通路の角とか」

最後は少し大きめの声でライムが言うと、「バレちゃぁしょうがねぇ」と体格の良い男が剣を構えて突進してくる。


「ね?」

「ね?じゃねーよ!」

ライムが得意気に言うのに対し、セフィルが突っ込むが、ディークが二人の前に出ると、敵が振り下ろした剣を受け止める。



,
の最初へ
 106
 108
の最後へ

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す