異色の瞳 75
「なんだ!こいつ!」
「早い」
裸で動く二人を女は笑い飛ばした。
「あっはは、可愛いのねー」
「ゼロ、アイツ」
「誰だ!!」
怪しげなオーラの裸の女性。作られたような、人間以上の完璧なスタイル。その姿が目に入ったとたん、二人の体から力が抜けた。
「がっ!!」
「え!?」
まるで金縛りのように動けない。
その隙に虫がゼロの足に絡みつき、太ももへ上ってくる。
「ふふふふ…素敵よ、その顔、とっても素敵…」
ゼロは何かを言いたそうだが言葉にならない。ただ、女を睨み付けることしか出来かった。
「その強がった顔がだんだん快楽の表情になるのよね。…そして死ぬまで快感を与えられ続けて、苦痛の表情になっていくの…でも快感もあるから変なキモチ…。見たいわぁ…キミのそんな顔…ふふふっ」
女の顔が怪しく微笑む。
ヌメヌメとした虫はゼロの秘部へたどり着こうとしていた。
(ヤバイ…)
「そぉれっ!!」
「キャアッ!!」
突然強い魔法が女を直撃し女が倒れる。露天風呂のライムだった。ゼロたちに気をとられていた女は気づかなかったのだ。
女の呪縛が緩み、ゼロはすかさず虫を振り払った。
「っこの、変態虫め!」
「大丈夫かよー??」
「サンキュな、ライム」
ライムが魔法で虫を焼き殺した。
「ちぃっ、まだ居たの…」
女が再び虫を発生させる。しかしライムが数段早く、女に攻撃を仕掛けた。
「なっ、お前、私を見ても平気なの?!」
「ざんねーん、オレには効かないねー」
押されてきた女から笑みが消える。
「…まさか魔族の子?ちっ…失敗ね…」
女はライムを恨めしそうに睨み、姿を消した。
三人は気配を探り、完全に女が消えた事を確認すると、ある事に気付く。
「セフィルは?」
ライムがゼロに問い掛ける。
「見てないぞ?」
「さっき身体洗ってくるからって、そっちに行った筈なんだよなぁ〜…」
腕を組み、深刻な表情で話をしていると、悲鳴が聞こえる。
「キャァ〜ッ!」
「フィウの声だ!」
言うなり、ゼロがダッシュする。それに続いて、ヤルとライムも。
「フィウ!どうしたッ!?」
フィウの姿を捕らえたゼロが叫ぶ。