異色の瞳 62
それを尻目に、ゼロがセフィルの肩に、ポンと手を置くと静かに言う。
「あの二人は任せた」
「ぇ…何で…?」
「エレンじゃまだ早いだろ?デュークさんに頼むのもアレだし…」
「ゼロがやりゃぁいいじゃん!底無しなんだからさぁ〜」
「一応底はあるんですけどι」
二人の会話が段々違う方へと進み始めると、いきなり声が聞こえる。
「レオナ、エレンくんがいいッ!」
見ると、エレンの手を握って、レオナが真っ赤になっていた。
エレンも先の話を聞いていたので、戸惑っている。
「レオナが一目惚れしたみたいだな」
ライムがいつの間にか二人の間に居る。
「わあぁッ!!いつの間にッ!」
セフィルが慌てて離れる。
そんなセフィルを見て、ライムはニヤリとする。
「俺、お前を鍛えてやるよ」
と、セフィルに言う。
言われた当人は唖然とした様子で立ち尽くす。
「だって、なぁ?」
意味ありげな笑みと視線をセフィルに投げかけ、半強制的にセフィルを頷かさせる。
それを見ていたゼロは、疑問を投げかける。
「何かあったんか?」
「ゼロ兄ちゃん、それがさぁ〜「わぁ〜ッ!!何も無い!何も無いぃッ!無いッたら無いッ!!」
ライムが喋ろうとしたら、セフィルがライムの口を押さえ、否定する。
明らかなる挙動不審に怪しむも、相当嫌がっているセフィルを見ると、やたらと触れてはいけない事だと理解する。
駄菓子菓子、先程出会ったばかりの二人の間に何があったのだろうと気にはなる。
そんなこんなでその夜は明け、朝の清々しい光の中、パーティは出発の準備を始めた。
「今日中には町や村に着けるかしら?いい加減野宿は疲れたな〜」
独り言のようにフィウがつぶやく。それは皆同じだった。
「確かに、あったかい布団で寝たいぜー」
「…この森はあと少し行けば抜けることが出来る。魔物が少ないこの時間がチャンスだ…」
「マジ?デュークさん!抜けたら町とかあるかな?」
「…確か小さな村があるはずだ。」
「よっし!!やる気出てきたぜー!!」
それを聞いていた皆も活気付いたようだった。
そして馬車を走らせ、森を進んでゆくメンバー。
魔物の気配も無く順調だ。
そのとき、レオナの様子がおかしくなった。
「…あ、いけない…こんな時なのに…あっ」
身体をモジモジさせながらトロンとした表情で何かを我慢しているようだった。
「レオナちゃん?大丈夫ですか…?様子がおかしいのですけど…」
レースの問いかけにレオナは黙って俯いている。