異色の瞳 52
敵は倒した。だが、流石に朝っぱらから日が傾き始める頃までの戦闘は流石に体力を消耗しきってしまう。
「何か先が思いやられるよなぁ〜…」
数が多かったとは言え、これ程までてこずるとは思っていなかった。
「水浴びしてぇ〜」
二人がへこたれてしまっているので、近くの川まで移動して、河原で野宿する事になった。
「ヤッホーッ!」
ゼロが着くなり、服を脱ぎ散らかして川へ飛び込む。セフィルも同じくして飛び込む。
そしてもう一人。
「ヤルも!」
三人して水しぶきを上げてはしゃぐ。
その傍らでは…
「ったく!服位纏めておきなさいよね!」
ぶつぶつと文句を言いながら服を拾い集めていく。
「手伝いますよ」
レースが言いながら一緒に拾い集める。
「お洗濯もするのですか?」
「えぇ。もちろん!こんな時位しか洗え無いしね」
「私もお手伝いしますよ」
「ありがと」
二人でニコニコしながらゼロ達のはしゃぐ河原の端で洗濯を始める。
冷たい水が心地よく、フィウとレースも疲れを癒しながらの洗濯だ。
フィウはふとレースの横顔を見る。真っ直ぐに洗濯物を見つめるその瞳は、銀色でどこか哀しそうな嬉しそうな…神秘的な瞳だった。長く伸ばした銀髪がサラサラと揺れている。
凄く整った顔立ちは、人間だったら間違いなく男の注目を集めるだろう。
(凄くキレイ…)
フィウの視線に気付いたレースが目を合わせた。
軽く微笑む。
「…どうしました?」
「はっ!!いやっ、あの、何でも」
フィウは慌てて目を逸らした。
(な、何考えてんのよアタシ)
クスッとこぼれるレースの笑いがフィウの頬を赤く染めた。
その頃川の中ではゼロ達3人がはしゃいでいた。
ヤルは相変わらずゼロにべったりだ。
「ヤルってホントに狼なんだな…」
ヤルの耳を触りながらゼロが呟く。
セフィルもそこへ寄ってきた。
「身体中薄く産毛があるんだよな〜」
「ヤル、獣、当たり前」
ははは、と笑う2人。
「どうせなら素っ裸になろーぜ!フィウ達洗濯してるし!」
そう言うが早いか、セフィルは唯一穿いていた下着も脱ぎ始めた。
それに賛同してゼロも脱ぎ始める。
「まぁ張り付いてきて気持ち悪いしな」
ヤルも脱ぐとセフィルが品評会を始める。
「やっぱゼロのデカイよなぁ〜」
「ゼロ、デカイ、ヤル、小さい…」
「や、ヤルのもデカイと思うぞ」
「俺、1番年上なのに…」
言い出しっぺが最後にヘコむハメになるという結果に。
「ってか、ヤルは獣だし、ゼロは龍だし…俺だけ人間だからかぁ〜?」
「さぁねぇ〜」
ヘコんでブツブツ言うセフィルに、悪戯っぽくゼロが言う。