異色の瞳 6
ゼロは眼鏡を外す。
「なら話は早いですよ」
ゼロの頬を両手で持ち、顔を上げさせ、瞳をじっと見つめてくる。
「ふむ…右目は天龍族、左目は魔龍族と…珍しい組み合わせですな」
「天龍って、攻撃が凄ぇって奴で、魔龍は魔法使えたんだろ?んで、神龍が神様の守護ってんだ奴だよな?」
「そう。君は天と魔の龍の血を受け継いだみたいですね。本来攻撃系の種なので、この組み合わせは珍しいですな」
「でも俺、魔法使えないぞ?」
「まだ覚醒していない様ですな。焦らず共若いのですから」
「んじゃぁそのうち魔法が使える様になんのかぁ?」
「そういうことですな。天龍は覚醒している様ですがな」
「すっげぇ〜じゃん俺!無敵!?」
「体内の力の流れを感じれば、自ずと力が発揮できますよ。邪まな使い方をしよう物なら本来の力の10分の1程しか発揮出来ないでしょうから」
「へぇ〜…」
マスターがにこにこと離れていく。
「さぁ、早く食べないと冷めてしまいますよ」
ゼロは自分が食事中なのを、すっかり忘れていた。
一通り平らげると、満足した様子である。
「そいえば、マスターは何でそんなに詳しいの?」
気になった事をストレートに聞いてみる。
「ぁあ〜考古学を前にやってましてな」
「へぇ〜…」
「遺跡等も色々歩き回りましたよ」
「…なぁ…龍族に関する遺跡とかって、あるんか?」
「ありますとも」
「教えてくれ…」
翌々考えてみると、自分の詳しい事等知らなかった。瞳の色が違う理由等考えた事もなかった。
更に彼には8歳以前の記憶が何故か無い。
マスターの言葉でゼロは決心をする。
自分探しの旅に出ようと。
本当に自分は龍族なのか、既に絶えてしまったと言われているのに、何故自分は血を受け継いでいるのか。
しかも混血であるとなると、更に謎が深くなる。
毎日の様にマスターと話をしてみる。
「そんなに知りたいなら、此処へ行きなさい」
と、地図と手紙を貰う。
「龍について研究している人が居ますので、まずはそちらでお話を…この封を渡せば解りますので」
ゼロの顔がパッと明るくなる。
「サンキュッ!恩に着るぜッ!」
店を後にし、家へと急ぐ。
ゼロの後ろ姿を見送りつつもマスターは、ふと思った。
「龍族の血は、200年も前に絶えてしまったはずなんだがなぁ…」
ゼロは家に帰ると、直ぐさま地図を広げた。
「ガールの街まで2日位か…」
いそいそと準備を始める。
物置になっていた部屋から剣を取り出す。
父親の物であった気のする剣。
剣に施された装飾はシンプルだが、骨董屋の目が眩む様な代物である。
ふと剣を抜くと、握りが手に急に馴染んだ。
「ぇ…?……気のせい…だよな」
剣を抜くと、その刀身に驚く。