異色の瞳 5
黙って背中でフィウを見送る。
「貴方のその瞳、私は好きだからッ!」
その言葉に即座に振り返るが、フィウの姿は見えなくなっていた。
「くッくッ…他人とは関わらないって決めてたのになぁ〜…」
自嘲気味に笑うと、ゼロも家路に付いた。
辺りはうっすら明るくなり、夜明けになってしまっていた。
目が覚めるとすっかり明るくなっていた。
カーテンを開け、太陽を見る。若干傾きかけている。
「昼過ぎちまったんかぁ〜…」
軽く伸びをすると、シャワーを浴び、服を着る。
ゼロの両親は原因不明の病で既に他界しており、どっから、何をしたらそんな額になるんだろうという莫大な遺産で、働かなくても暮らせていけるのである。
しかし、金を使ってどうこうとはせず、普通に使って普通の生活をしている。
そんなゼロ、今日は3日に一遍の買い出しの日。
サングラス等、濃い色の眼鏡は必需品だ。
軽くチンピラみたくなってしまうが、下手に言い寄る輩が減るので、それはそれで良いと思っているらしい。
「さぁ〜てと、行きますかぁ〜」
誰に言うでも無く、一人で喋る。
財布の中には、いつもより少し多めのお金を入れて。
村の中心部に着くと、辺りを見回す。
「今日は朝飯(兼昼飯)から豪勢にいくぞぉ〜ッ!」
偶の贅沢に、旨そうな飯屋を探す。
「おッ!新しく出来て、旨いってのは此処ん家かな?」
風の噂で聞いた評判の良い店に入る。
中に入ると、雰囲気的にはちゃんとした食事も出来るBARみたいな洒落たお店であった。
「いらっしゃい」
ゼロは取り敢えずカウンターに座る。
すると愛想のよさげなマスターがメニューを差し出してくる。
「ぅ〜…面倒臭いから、マスターお勧めの旨いやついっぱいくれッ!」
メニューを閉じてそういうと、ニコッとマスターが笑う。
「かしこまりました」
そう言い残して厨房へ消えて行く。
暫くすると、豪勢に盛りつけられた料理が出てくる。
「ぅおッ!うまそぉ〜!」
「うまそうじゃなくて、旨いだから。たんとお食べ」
「細かい事は気にしないっと!いっただっきまぁ〜すッ!」
ガッツキ出すゼロを横目に、マスターはコーヒーを要れる。
「ぁッ!砂糖とミルク多めね!」
「かしこまりました。ところで、お客様は珍しい瞳をお持ちで。少し見せては戴けないかな?」
「…やだ…」
どうせ冷やかしか何かだと思い断るが、マスターの次の言葉で見せる事になる。
「今は亡き種の瞳を持つとは珍しいと思ったんだが、嫌とは仕方ない」
「…は?」
ゼロの手と口が止まる。
「お客様も龍伝説はご存知ですよね?」
「知ってる。神に使える最強の3龍だろ?」