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異色の瞳
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異色の瞳 50

それもその筈で、ワイワイガヤガヤと会話が弾み、トランプすら出てきている始末。

「まッ!先は長いんだから楽しく行かないとつまんないっしょ」

セフィルがにこやかに告げてくる。

「まぁそうだが、戦闘準備だけは忘れるな」

「解ってるって」



一方では隅の方にゼロがいる。元々人と馴れ合う事を嫌っているので、開けっ広げた今の状況では身を引いていたのだ。
しかし、その隣には相当気に入られたのか、ヤルが引っ付いていた。

「ゼロ、トランプしないのぉ?」

「僕はいい、こっちが落ち着くから」

笑顔で返すゼロ。
傍らに寄り添うヤルに目を向ける。

「ヤルは?トランプしないのか?」

「…トランプ、知らない。ヤル、ゼロ、一緒いい」

「そっか」

狼の少年はネコのように、ゼロの隣で丸くなっていた。


その日は何も無く日が暮れ、ゼロ達は野宿することになった。



フィウが手際良く夕食を作り、食事を摂る。
皆それぞれ談笑し、眠りに就いた頃、ゼロは眠れずに一人焚火を見つめていた。



「ゼロ、寝ない?」


考え事に耽っていたゼロは驚き、声元へと目を向ける。

「ヤルか…起きてたのか?」

「起きた、今」

「そっか…」



「ゼロ、変。どした?」

「いや、ちょっと考え事してただけだよ。気にすんな」

「そか…寝ろ、早く」

「ぁぁ…さんきゅ…」


ヤルが再び眠りに就く頃、先の会話で少し緊張が解れたのか、ゼロにも睡魔が襲ってくる。
ほど好いまどろみの中で、意識を手放す。




「ゼロォッ!!早く起きないと置いてっちゃうよぉッ!!」

「ぐえッ!?」


朝っぱらから少女の怒鳴り声と、蛙の潰れた様な音が鳴り響く。

「ぅっわぁ〜可哀相…」

セフィルがボソリ呟く。

「ゼロさん死んでなければ良いのですが…」

エレンが呟く。

流れ的には、朝皆起きて出発の準備をするのに、ゼロをフィウが起こそうとしました。けれど、揺すっても頬を叩いても起きないので、最終手段と言った訳であります。
察しての通り、それはフィウがゼロにダイビングッ!結構な高さからの勢いで、フィウの体重+αがゼロの腹部へ直撃する。

悶え苦しむゼロ。

やり過ぎたと少し悔やむフィウ。


「殺す気かぁッ!!」

「だって起きないんだもん」

「……ι」

良い感じの威力で、常人であれば殺せるかもしれない。 

「さッ!早く準備しないとお昼になっちゃうよ」

フィウが一人その場を纏めると、馬車に荷物を積み始める。

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