異色の瞳 49
そう、フィウの目線だった。フィウはネーアと共にレズプレイですっかり昇天していたが、やはりスメラナに先を越されたのがムカついていたようだ。
「こぉのバカぁ!!帰るよ!」
「いててて」
ギュッと腕を抓られゼロは引き離される。
スメラナは物足りない表情で見つめていた。
「ありがとう…ゼロさん」
すっかり少年に戻ったアル。
「またいつでもいらっしゃい」
ちょっと淫乱なスメラナ。
「またね」
レズプレイが気に入ったネーア。
ゼロとフィウは3人に別れを告げると、宿へと帰っていった。
宿では皆眠りについていた。2人もさすがに疲れたようで、すぐにベッドへと潜った。
明日からの新たな旅に向けて…。
…次の日。
宿の前には子供たちの集まり。そう、ゼロ達だ。
「さーて、じゃああの山へと進むんだよな」
「この町ともお別れね」
「メンバーはこれで全員なのでしょうか?」
「いや、あと1人ゴツいオッサンが来るぜ〜」
「…オッサンではない」
うわぁと振り返るとそこには巨大な筋肉の塊が居た。
「ビックリさせんなよぉ」
「…昨日より増えているな」
「うん、2人仲間が増えました」
「簡単に自己紹介しておこうぜ」
全員がお互いに名前を言い合う。
異色の瞳を持つ龍族の少年、ゼロ。
元気だけが取り柄の少女、フィウ。
ムードメイカー的存在で活発な少年、セフィル。
昨日まで女の体だった大人しい少年、エレン。
狼族の生き残りで神秘的な美しさを持つ獣人女性、レース。
レースの弟で人間不信な獣人少年、ヤル。
巨大な体付きで無口な自称お兄さん、ディーク。
この7人はお互いに紹介しあい、そしていよいよ出発となった。
目指すは北に聳える山だ。
その頂上付近にあるはずの遺跡を目指して、馬車を走らせる。
途中の村や街で消耗品等を補充しながら順調に進めれば、一月程で着く予定である。
だが距離が距離なだけに、波乱も予感される。緊張しながらの旅になる筈である。
が!
「お前らピクニック気分だな…」
御者を任されたディークが半ば呆れた様に言ってくる。