異色の瞳 41
「獣人を売り物にするなんて…」
「ま、まて!こいつらは魔物と人間のハーフだ!人間じゃない!う、売ろうが何しようが全然悪いことじゃ無いんだよ。」
「悪いわよ!」
フィウの魔法弾が中年に命中。中年は倒れて動かなくなった。
「お、おぃ、殺した…のか?」
「まさか!気を失ってるのよ」
そして二人は少年に駆け寄る。
「大丈夫か??」
「…うぅ、人間、嫌い。サワルナ…」
「そんな。俺ら助けたんだぜー」
少年は牙を出し、必死に威嚇している。
「…困ったなー」
二人が考えているとどこからか声が聞こえた。
「やめなさい、ヤル…」
フィウが開けた穴に女性が立っていた。銀色の長い髪が神秘的で、少年と同じく獣の耳と尻尾が生えている。
「うわ、キレーなお姉さん…」
「姉ちゃん、何で、きた!人間、襲う!!」
「この人達はそんな事しないわ…」
女性は透き通った目で二人を見つめた。
「弟を助けていただきありがとうございます。お話したいので、とりあえずここを離れましょう」
「あ…はい」
二人は言われるまま獣人の姉弟と屋敷を後にした。
そして町から少し離れた草村まで来ると四人は腰を下ろした。
「あらためてお礼をいいます…。私の名はレース、こっちは弟のヤル。ご存知と思いますが私達は狼の獣人です」
「やっぱり…」
「私達の一族は山の奥でひっそりと暮らしていました。でも…」
「人間、壊した!!」
ヤルが怒鳴る。
「ヤル!やめなさい!…でも…本当の事です。私達は魔物ほど恐ろしくもないようで、何人も殺され、囚われ、…犯されました」
「そんな…」
「性欲を満たし飽きられると、毛皮を剥ぎ取られ売り物にされます」
ヤルは悔しそうに呟く。
「みんな、死んだ。村、焼かれた。人間、嫌い」
「でもこの人達は助けてくれた。そうでしょう?ヤル。…生き延びた私達は他の生き残りの仲間を探すために放浪していました。でもまた人間に襲われて…弟だけが囚われたのです」
「…そうだったんですか…」
レースは二人に頭を下げた。
「本当に…弟を…ありがとうございました」
「い、いえ…」
「ヤル、あなたも。お詫びとお礼を言いなさい。助けていただいたのよ?分かるわね」
「う、…うん」
ヤルは二人の方を向く。照れたような困ったような顔で小さく呟いた。
「ご、めん。ありがとう…」
「おぅ…素直だと可愛いな」
苦笑いのセフィル。
「これからどうするの?」
フィウがレースに聞いた。
「…分かりません。帰る所は無いですし、仲間を探したいけど…またあのような人間に襲わるのが恐くて…」