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異色の瞳
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異色の瞳 39

フィウは溜息をつくと

「エレンがなんで女の子になったか忘れたの?」

フィウが呆れた口調で言うと、セフィルも思い出した様子で手を叩く。

「ぁそっか!んでティム爺さんに何か貰ってたんだよな!」

セフィルが話していると、フィウは急に深刻そうな顔をして

「アルも治さなきゃだけど…あの女が…」

相当スメラナに対する印象が悪く、何故か闘志を燃やしている。



一方そんな理由で二人きりにされたエレンとゼロ。
沈黙が流れていた。
「「あのっ」」

沈黙は二人のハモった台詞で消された。

「…あー、ごめん。なに?」

「い、いえ、ゼロさんは…?」

ゼロはエレンと目を合わせずに落ち着かないようだ。

「ぇっとさー、さっきのティムさんの話聞いた…よなぁ…?」

「…はい」

「元に戻れる方法…分かったしさ、…その…戻りたい?」

何でこんなドキドキしてるんだ、とゼロは自分に言い聞かせた。

「…はい、戻りたいです。ゼロさんさえ良いなら…」
「ぼ、僕はいつでも準備オッケーだぜ」

ぎこちない笑顔を作るゼロ。
エレンも恥ずかしそうな笑顔を浮かべた。

「…良かった。恥ずかしいですけど」

「じゃ、じゃあ早速…今から…」

「あ、待って下さい!その…今は…まだ明るいし…」
「あ、あぁ!あー、そうだよな!明るいよな!」

「今夜…同じ部屋で寝てもいいですか?」

「お、おう!」

ゼロは返事で精一杯だった。純粋さを持つエレンには自分のペースを出せないのだ。


その頃、フィウとセフィルは道具や武器の店をうろうろしていた。

「…ゼロ、もうヤったかな?」

「な、何言ってんの?バカ」

フィウが赤くなる。
「だって気になるじゃんか〜」

「あんたそれしか頭に無いの!?明日の準備しなくちゃなんないのよ!」

バカ!と言ってフィウは店の外へ出た。セフィルもあとを追う。
すると店の前の通りを一匹の獣が駆け抜けていった。

「えっ!今のオオカミじゃない?」

「でもまだ子供だったぜ」

二人は急いで後を追う。
町の入口の茂みに小さなオオカミは居た。

「居た!…あれ?」

「あいつ、足にケガしてるぞ」

オオカミは後ろ足から血を流し、それでも近づく人間を威嚇していた。

「どうしよう?魔物なのかしら?」
倒すべきかどうか。フィウが悩んでいるところに甲高い声が響き渡った。

「おやおやおやぁ、こんな所にいたのか」

フィウとセフィルが振り向くと、いかにも成金な白髪交じりの中年がいた。でっぷりと太っている。

「あー、お嬢さん、お騒がせしました。アレ、私のペットなんですよ」

「そ、そうですか…」

「さ、戻ってこい」

中年が近づくと『ウ゛ー』と唸り声をあげる。そしてオオカミは急に飛び掛かったのだ。

「あぶねっ!!」

セフィルが叫ぶ前に、中年は不思議な鎖でオオカミを縛り上げた。

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