異色の瞳 13
「お、お前ら何で…」
「旅に出るって聞いてさ、慌てたんだぜ〜」
「そうよ!私だって魔法や弓使えるし!」
ゼロは二人を見る。
「でもさー、お前らモンスターに襲われてたじゃん」
「う、うるさいわねぇ!これからレベルアップすればいいのよ!」
「そうそう!頼むよ!な、な!」
「あーもう!わかったよ!」
ゼロは集団行動が苦手だがしつこく迫られるのも嫌だった。
「やったぁ♪私フィウ、13歳よ。よろしくね♪」
「俺はセフィル!14だぜー!」
「あ…エレンです。11です」
「ゼロ。13」
こうして4人の少年少女は旅に出発した。村が見えなくなった頃、セフィルが聞く。
「で?どこ行くんだ?」
「まずはカールの街。そこに龍に詳しい人が居るんだってさ。」
そっけなく言うゼロ。
「カールかぁ〜、今日中には無理ね。野宿するの?」
「うん、夕方になったら広い場所を探そう。僕は木の上でもいいんだけど」
そんな会話をしながら草原を進んでいく。途中、何度かモンスターが現れたが、四人でかかるとさすがに楽だった。
そして…日が暮れかけ、四人は小さな池の近くで野宿をすることにした。
まずその異変に気付いたのはゼロだった。
「ん・・・何か聞こえないか?」
「何も聞こえないぞ?」
「遠いがなんか斬りあうような音や魔法を撃つような音がするぞ?」
ゼロとセフィルのやり取りに口を挟んだのはエレンだった。
「何か聞こえるよ!」
「ああ、あの丘の向こうだ。」
彼らの進行方向には少し向こうに丘状の盛り上がった場所があり、その向こうかららしい。
「行ってみるぞ!」
慌てて全員が丘へと走り出す。
彼らが丘の上に着く頃には、全員その音が聞こえるようになっていた。
魔物の雄叫び、魔法を撃つ音、馬車が驀進する音。
彼らの目に入ったのは、豪華な馬車が魔物に追われて疾走しているところだった。
馬車を追う魔物は7体だったが、馬車の背後には魔物、騎士らしき人間、馬が点々と横たわっていた。
すでに随伴する騎士の姿は無く、馬車の後部から打ち出される魔法だけが魔物を迎え撃っていた。
「行くぞっ!」
「おお!」
「うん!」
「はい!」
丘を登ってその隙に追いつかれるのを恐れたのだろう。
ちょうど馬車は彼らから見て右前方から左方向へ斜めに、ゼロたちの進路と合わせると「イ」の字のような進路を描いて逃走していた。
「ファイアショット!」
丘を駆け下りながら、牽制にエレンは火の矢を撃った。