異色の瞳 12
「…ぅ。ここは?」
「ここは病院だ。」
「ぼく…どうして…」
少年、いや少女は少し考えるとハッと何かに気付く。
「思い出したかね?君はモンスターに襲われていたんだ。」
医者はゼロが助けてくれた、と説明した。
「あなたが…。ありがとうございます、僕の名前はエレンです。」
「…あ、うん」
ゼロは気まずそうだ。
「エレン君」
医者が決意したかのように話始めた。ゼロが龍族であること、交わりのこと、…そしてエレンの体が変化したこと。
エレンは信じられない様子で自分の体を見つめた。
「そ…んな…」
その表情からもエレンがかなりショックを受けていることが伺えた。
医者が慌てて弁解するように言う。
「治療法が無いわけではないよ。ゼロ君は龍族だが、まだ力をほとんど引き出せていないそうだ。これから旅に出て龍族の本当の力を見つける。そうなれば君の身体も元に戻るかもしれん。」
エレンは考え、明るい表情で答えた。
「いえ、僕はゼロさんを責めていません。だって命の恩人ですから!…でも…。…でもやっぱり男の子に戻りたい…」
そしてゼロを見つめる。
「だから、僕もその旅にお供させてください。」
「えっ?」
ゼロが驚く。
「危険なのは分かってます。けど僕、魔法を勉強してるんです。今は未熟だけど…迷惑かけませんから。」
ゼロは少し考えて答えた。
「分かった。一緒に行こう!」
「はい!!」
嬉しそうなエレン。そして二人が病院を出ようとしたとき、医者がゼロを呼び止めた。
「ゼロ君、ちょっといいかね?」
「はい?エレン、先に出てて。」
「うん。」
医者は小声で話し出した。
「先ほども言ったがキミの…その…精液の中には魔物を払う力があるのだ。しかし、当たり前だが魔物たちはそれを恨めしく思っている。」
「つまり、魔物に狙われやすくなるって事?」
「そう。普通の戦闘ではキミは良く鍛えているし大丈夫だろう。だが…」
「なに?」
「身体を狙ってくる場合もある。雌モンスターはキミの体内から精液を搾り取ろうと、雄モンスターはキミの中に少しでも多く魔物の種を植え付けようと…」
「ま、マジで…?」
「気をつけるのだよ。キミは龍族だし魔物の種くらいでは死なないと思うが…力が弱まる可能性がある。私が言いたいのはそれだけだ。」
ゼロは少々戸惑いながらも病院を後にした。
外ではエレンが待っていた。
「あの、ゼロさん…」
「ん?」
「ありがとうございます…僕なんかを助けてくれて。」
「あぁ…いいよ、僕も気持ちよかったし…」
ゼロは言った後で気づき、顔を赤くした。
「おまえ何歳?」
「11です。」
「あー、どおりで…」
ゼロは勝手に納得した。そしてエレンと別れ…。
とうとう旅立ちの朝がきた。
ゼロとエレンが村を出ようとしたその時、
「待ってよぉ、アタシも連れてって!」
「オレもオレも!!」
現れたのはフィウとセフィルだった。