異色の瞳 106
「ゼロの脇腹に、銃か何かで撃たれた痕があったんだ。」
「うそ…?まさか、命にかかわったりするの??」
「ううん、違う。傷自体は大したことないし、ゼロの回復力ならあんなん日常茶飯事だよ」
「んじゃ、なんなんだよ〜」
「その銃には魔力がかかってたみたいなんだよね。そのせいでゼロは抵抗できなかった。」
「…で?」
「ゼロには龍の血が流れてるんだぞ?しかも天龍、魔龍の。そんなサラブレッドにたった一撃の銃弾で魔法をかけるなんて…俺達クラスの力が必要だって言ってんの」
「じゃ、じゃあ、相手のボスは…」
「それを確かめるために着いて行くんだよ!組織自体は人間でも、裏にとんでもない奴がいるかもしんないし…そのときはディークさんやセフィルじゃきついでしょ」
「あ、ああ…」
皆納得のようだった。
素早く行動するのと目立つのを防ぐために、アジトへはディーク、セフィル、ライムの三人で向かう事となった。
「じゃ、レオナはこっちを守っておいてくれよ!」
「だいじょうぶ、いってらっしゃーい」
3人はすぐに宿を出た。
それを見送ったレオナは、ゼロの眠っている部屋へと向かう。
規則正しい寝息が静かに響く室内。
ベッドの上でスヤスヤと眠るゼロ。
レオナはそのベッドに背を預けて座り込む。
静かに部屋の扉が開くと、ヤルがその隙間から顔を出す。
「ヤル…くん?」
「ゼロ、大丈夫か?」
ゼロが心配で堪らないのだろう。ヤルが部屋に入り、レオナの横に腰を降ろす。
「はい。良く眠っています」
それを聞いたヤルは、胸を撫で下ろした。
「ゼロ、酷い目あった…ヤル、許せない…」
「一緒に行かないの?」
「セフィル、言った。男、エレンだけ。心配、だから、ヤル、守る」
「ふふ、セフィルさんらしいね」
二人はゼロを起こさない様、静かに笑った。
「じゃぁ頼りにしてるよ?ヤルくん」
「まかせろ!」
ヤルは立ち上がると、?レースとユーリの居る自室へと戻って行った。
入れ違う様にしてフィウが入ってくる。
「どう?ゼロは?」
フィウはゼロの頭を撫でながら、レオナに問い掛ける。
「身体の回復は順調です…」
「後は目が覚めてから…か…」