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異世界物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異世界物語 10

彼女は赤子を眠らせると、新たなお触れを出すために紙にペンを進め、最後に花押を記す。今度は坑夫の動員でなく、新たな人材だった。
体力や頭数でなく頭脳が求められるもので、政策や技術などの底上げで他の勢力より優位に立つべき時期と考え、良い案を出した者には賞金と家族は無税とするとの破格の条件を出す。
お触れの高札はすべての領民の目に触れられるようにマリエルが暮らす村にも立てられた。



「どうします?ハルトさん」
「俺は本来部外者だけど、坑夫として連れて行かれるよりはいいかもな。俺の知識が役に立てば、恩返しができる」

年令や性別も問わないという記されている点からも、俺が行きやすい土壌が整ってる。中世レベルなら、俺の知ってる知識も普及していないわけだから、ビジネスチャンスも多い。
もし領主に会えて気に入られれば進言して圧政から人々を救えるかもしれないし、単なる暴君なら油断しているところを暗殺することだってできる。
俺はマリエルを助手として役人のもとに向かうと、馬車に乗せられて領主の館まで連れて行かれた。
領主の館は中世ヨーロッパ風の小さな城なのに、どこか和風のエッセンスが散りばめられている。旗に家紋が描かれているのを見て、なぜか親近感が湧いた。

「其の方がハルトだな」
「はい、奥方様。御触書を見て参上仕りました」

俺は大広間に通されると、奥の真ん中に床几に腰掛けた豪胆そうな姫が床几に腰掛けている。巫女に似た衣装なので、宗教的権威も持ってるのかもしれない。

「奥方とは、面白いことを言うな」
「では、ナオトラ様は何処に」
「私がそうじゃ」
「これは御無礼を。まさか女城主だったとは」

立場は違えど俺と同じ黒髪に黄色い肌で油断しきっていたが、なんとか会ったばかりの領主を怒らしてはならないととっさに頭を下げる。
にしても…女領主ナオトラ、かなり立派な胸をしているな。
凛とした美貌だけで無く、あの村の女性達にも引けを取らない。
それを胸元がやや開いた巫女装束風の衣装に身を包んだ嫌でもセクシーな姿をしている。
だけど下品さは感じない。
それどころか、和風美人でクールビューティーとセクシーさを突き詰めたような、そういう突き抜けた魅力を感じる。
思わず胸に目がいくのを意志力を動員して必死に回避する。
悪領主と呼ばれるだけに、自分の身体の魅力にどう反応するかも観察用の餌にしているはず。

「女領主など稀な者ゆえ驚くのも無理ないわね。よいわ。そうも無理に逸らさずともよいのよ?」
「!」

俺は許されたと思って頭を上げた所で指摘されて固まってしまう。
ナオトラは俺の様子を見てクスリと微笑んだ。

「で、御屋形様が相談したい議とは?」
「まだ其の方を家臣にした覚えはないわ」
「では、なんとお呼びすれば」
「名前で良い。そなたが持っている知恵とは何だ?私はこの国を強くしたい、そなたにできるか?」
「はい、策はあります。もしお試しいただいて、成功の暁には…」
「約束しよう、褒美とそなたの家族…いや、世話になっている女たちの身は安堵する」
「ナオトラ様のご期待に沿うるよう、忠勤に励みとうございます」

こうして俺とマリエルは領主の館の一室を借りて住まうこととなった。ナオトラの領地経営の中枢について口をだすのだから、嘘つきや無能や他の勢力の間者なら消されるだろう。逃げれない状態というやつだ。
その日はいろいろ饗され、初めて贅沢というものを実感して眠った。ナオトラ自身にも謎が多いが、幸いにして他の知恵者も来ていないようなのでまずはすぐ変えてほしい事から頼むことにしよう。

「坑夫を減らして村に返せとはどういうことか!」
「このままでは農村が疲弊します。食料が出回らないと、他の国から買うこととなって金が流出するばかりとなります」
「だが、坑夫を減らしてどうする?奴隷でも買うのか?」
「鉱山の効率化を図ります。今よりも整備して人を減らしながらも、質の良い金属を増産します。具体的には…」
「なるほど、理にかなっておる。背の低い馬など価値が無いとおもうておったが、坑道では都合が良いな。なんだ、そのトロッコやらを引っ張らせるのに」

ナオトラの領土は鉱山で持っている部分がある。採掘には人手が必要だが、安全面への配慮や効率化で他の産業へも人材が回せると説いた。
元手は必要だが、女領主の発言力は絶大ですぐ改善に取り掛かる事となった。

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