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異世界物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異世界物語 11

「なんと、囚人を獄から出して兵にしろとな!」
「はい、いずれ戦の形は変わります。飛び道具中心の集団戦に」
「寄せ集めの兵で何ができる?不利になればすべて逃げてしまうぞ。何より、武芸を学ぶのは月日がかかる」
「銃を増やすのです。火薬は鉱山で使うみたいなので、間に合っているはずだし、鉄や銅も豊富にありますね」
「銃とは何だ?」
「カノンの小さなものです。一人で扱えて、少し鍛錬すれば女子供もでも使えます。短いものを作れば、馬上からでも撃てます。ゆくゆくは大砲も改良すべきです」
「ハルトよ、ただの思いつきではないであろうな?硝石を作るのは手間なのは知ってるな?職人たちに命を下すので、銃とやらの仕様をまとめよ」
「仰せのままに」
次の日は軍制改革を訴えた。目標としてはとりあえず火縄銃のレベルまでを目指し、現物が揃うまではクロスボウを増やして装填と射撃という概念を学ばせることで合意できた。
傭兵を雇うには金がかかるし、そんな費用があればこの領土で火器の進化を促して他の勢力に先んじれば、多くの騎士を抱えた勢力も怖くない。
理不尽な理由で牢につながれた者を出せばナオトラの圧政も一時的なものだという印象を与え、民意にも変化を齎せれるだろう。
重要な分野にアイデアを出すと、次の日は各現場に彼女とともに現場に顔を出すこととなった。みんなナオトラを恐れているらしく、現場でも誰一人異を唱えることなく俺が必要だと述べたものを作ったり揃えたりしていた。鉱山と工房への移動は馬車だったので、馬車に揺られている間にも馬車の改良点と具体策を出した。短い間に他の家臣も俺を認めるようになった。
今日もナオトラの巡察に随行している。
赤ちゃんを連れた彼女と一緒の馬車のなか。
彼女は俺や他の男性家臣が見ていても恥じずに娘に授乳している。
この地の母親は皆がこうなのかと言うと、マリエル曰く大半の女性にとって授乳は大して恥ずかしくはないらしい。
目の間に座る俺の目の前、ナオトラの見事な爆乳に吸い付いて娘ちゃん-幸という名だそうだ-が母乳を飲んでいる。
しかし…村で聞いた噂では現領主は先代領主の配下で、権力を強奪したと聞いているが、まさか乳飲み子を抱えた母親のナオトラがそうだとは思わなかった。
それにこの子の父親に関して姿も噂も聞かない。
…よし。

「御屋形様?」
「どうした?」
「お伺いしたいのですが、確か先代に仕える武人だったとか。どうして赤ちゃんを抱えた身でこの地の領主の座を奪われましたか?」
「そちも私を血も涙もない領主だと思うか?他の領主はもっと酷いぞ。ただ、裏でやっているから目立たぬだけだ。血が濃い貴族に男色や人狩りだのおぞましい」
「御屋形様は、そんな世を終わらせるために立ち上がったと?」
「そこまで善人ではない。吟遊詩人の歌じゃあるまいし。雇われ兵の身から側室となり、子を身籠った。先代は狩りに出た折に暗殺された。その頃は臨月だった。この子がいるので、領主の家系は守られている」
おそらく、正妻についた一派との抗争もあったのだろう。むしろ絵に描いたような下克上でないことに驚かされる。あくまで暫定的という形だ。
「先代に恩はありません。しかし、御屋形様の政を手伝いたいと思い立った以上は、そのお子の為にも全身全霊で仕える所存で…」
「ははは、こやつめ。ただ知恵者といういだけで私の正式な家臣にはなれぬぞ。ハルトよ、このナオトラのために、命を奪えるか?」
「戦場での話でございますか?」
「知らぬわ、自分で考えよ」
「さすれば、銃が完成した暁には、鴨を撃ち落としてご覧に入れます」
銃はナオトラが気に入るであろうと容易に予想できたので、こちらも念入りに完成度を上げようと考えていた。
まず原理模型とも言える原始的なの手砲を作らせ、用途をはっきりさせた上で鉄砲製造の秘訣とも言える荒巻の上に更に葛巻という銃身の強度の確保と栓尾閉鎖はネジという極意を鍛冶師に伝える。
工具を作る段階から始まり、マスケットとも言える荒削りな小銃一挺と散弾向けのラッパ銃と馬上からでも使える短銃を完成させ、どうにか披露するまでになった。
しかし、様々な戦場を渡り歩いてきたであろうナオトラは仕上がりに納得せず、逆に叱咤された。おもちゃ扱いは正直頭にきたが、まだ出せる知識があったのは確かだ。
後日ライフル銃身と装填しやすく威力のあるプリチェット弾に銃剣と、火薬の製造に携わっていた技師が偶然研究中に発明した雷汞も利用して火縄から雷管式にまで進化させた。

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