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異世界物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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異世界物語 13

「ようミッツィちゃん、また会えて嬉しいよ!相変わらずかわいいお尻だねぇ!」
何か食べていた農夫が通りかかった彼女を冷やかしている。
「もうっ!ベネットさん!駄目よっ!」
ミッツィさんは農夫の手を払おうにも料理を手にしていたので、素早く避ける。
「生きて帰れたんだからこれくらいいいじゃねえか」
「おいおい、ベネットは相変わらずだな。うちのミッツィに変な事すんじゃないぞ!」
カールさんの一言で釘を刺されたベネットさんはすごすごと引き下がった。
その姿をみてほかの客が軽く笑っていた。
そのムードの中を料理を持ったミッツィさんが俺の席まで来た。
「コレ、お父さんとお母さんから。」
「本当にいいの?」
料理は村落では貴重な牛肉などを使った焼き肉の一種。
少しばかりの香辛料と塩、それにソースで味付けされている。
それにキャベツの仲間らしい菜類のサラダにりんご。
派手さはないけど美味しそう。
カールさん達の懐にも負担だろうにと思うと、思わず問い返してしまう。
「いいんだ、いいんだ。俺だって恩知らずじゃないつもりだよ」
やり取りに気づいたらしいカールさんの声が飛んできた。
「だから…ね。それに後で…」
ミッツィさんが顔を赤らめて何か言いたそうにしている。
「何か話があるの?城館に奉公したいとかなら今はおそらく駄目だよ。メイドとかは足りてるらしいし看板娘がいなくなったら村の人が残念がるよ?」
「やだ、違うよっ!あの、その…あの…部屋へ…」
ミッツィさんの視線の先を見てみると奥へ入る扉がある。
「気づいてあげられなくてごめん」
「もうっ!」
俺も申し訳なくなって頭を下げた。
ちょっと不満げだけど、でも声音は本気で怒ってるというより恥ずかしさゆえの物みたいだ。
「おい兄ちゃん!ミッツィちゃん泣かせんなよ!」
「ちえっ!」
誰かが冷やかし半分に言葉を飛ばしてきた。思わず舌打ちしてしまう。
これ以上引きずるとミッツィさんにも迷惑がかかりそうだから話題を切り替える事にした。
目の前の焼き肉からは香ばしい匂いが漂ってきて俺の食欲を煽っていた。
「さあて、どんな味なのかな?」

「お父さんの自信作だから。さあ、召し上がれ!」
さっそくフォークで肉を切り、一口食べる。
「………!」
肉が、赤身と脂身のバランスが良く、しかもかなり焼き方が上手い。
脂身と赤身の両方の良さをちゃんと活かした焼き方と、このソースなどの味付けが俺の想像を超えて旨い。
「すげぇ…凄すぎる。ヤバイってこれ。うう、カールさん、ありがとう!!」
「でしょ?でしょ?」
横で様子を見てたミッツィさんが、ものすごく喜んでいる。
カールさんはかなり腕がいいようだ。
あまりにおいしくて、俺はあっという間に平らげてしまった。

「すっごくうまかったよ。ありがとう。また食べにくるよ」
「いつでも来てくんな!歓迎するよ!」
「本当かい、嬉しいねぇ」

カールさんもウルスラさんも喜んでくれた。
ふう。ステーキを食べて、一息ついて。
ミッツイさんが、嬉しさと期待と緊張の混じった様子で、俺を見ていた。
「じゃあ、お邪魔するよ」
「ええ」
さっきミッツイさんが視線を向けた、ドアの向こうに入る。
短い廊下を通り、部屋へ案内された。
「ここが、私の部屋。汚いところだけど」
「そんな事ないよ」
簡素だが、整理されていてちゃんとしている。


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