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メイド・ナイト・レジェンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メイド・ナイト・レジェンド 8

アナンの一言に、疲れ切っていた皆が口々に話し出す。

「どこか、家か宿に入りたいです…」
「しかし、我らの居場所が奴らに知られてしまう」

アスティナのやや弱気な一言に、ニアが冷静に返す。

「しかし、いつまでも森の中というわけにはいかない。山賊どものような人間をやめた連中ではあるまいし、このままでは野垂れ死にだ。」
「僕は、カルンドゥム村がいいと思う。この先、ロア渓谷にある村。あの辺りは山中の間道を通らないといけないから、すぐに追手が来ることはないはずだ」

サーシャは発言すると、その方向を指し示した。

「ここからだと、遠回りですね…」
「その間道に入るまで、確かここからだと3日近くかかります」
「提案するなら、もう少し早いほうがよかったかもしれない。僕のミスだ」

アスティナとニアの指摘に、サーシャが俯く。

「だが、隠れ場所としては良いと考えます。殿下。ロア渓谷も南方諸侯の一人、クローディアス伯爵の領地なれば」
「攻めてきたのは北方の軍勢に謎の敵。誰も南方の者の将兵と戦った者がいない。なら南方の領主達までは売国奴の手は伸びていないと見積れる。なら行くべき」
「わかった。カルンドゥム村をまず目指そう。それからクローディアス伯爵の元へ」

ヴィクトリアとニアが、相次いで賛意を表明し、アナンは断を下した。

三日後、何とか森を歩いたアナン達は、渓谷への道へたどり着いていた。

「ここが、バーギナの間道だよ。ここからは僕が案内するから、はぐれないで」

巨大な岩山に、ひびを入れたような隙間があって、それが道になっているのだ。
不覚にもアナンは、女性のアソコを連想してしまった。

「ん、頼んだ。行こう」

一列になって、細い間道を歩く。両側が岩に挟まれたところもあれば、片側が崖になっているところもある、知らなければ通れなさそうな道だ。しかも、時たま分かれ道がある。

「誰も潜んでないか、調べますか?」

あるメイドがいった。レグリア・タングステン。地味だが可愛い顔立ちの彼女は、密偵を兼ねているのだ。

「頼むぞ」
「はい」

アナンの一言で、レグリアと他に二人が素早く分かれ道を行く。彼女たちも偵察を得意とする者たちだ。
サーシャの案内で、誰も道に迷わないが用心は欠かせないと思っての事だ。
彼女達が分かれ道を調べている間も、アナン達はサーシャの案内で進む。
道が細くて、あまり速く動けないので、レグリア達はさっと調べてすぐに追いついてくる。

「それにしても、落ちそうで怖いです…」
「襲撃より、そっちを気を付けたほうがよさそうだな。足元気を付けて!」
「私が敵でも、ここでは地形が険しすぎて襲撃部隊を伏せたりする気にはなれない」

テルルが怖がると、サーシャが転落しないよう注意を促す。
ヴィクトリアも、指揮官としての見地からそう言って、仲間を少しでも安心させようとする。
「でもさー、サーシャはこんな間道よく知ってたね」
「僕の故郷だからね。カルンドゥム村やその近辺の者しか知らないし、本当はメイド隊にも秘密なんだけど、場合が場合だ」
「私もこの道の存在はここで初めて知った。伯爵も、おそらく知ってはいても防衛上秘密にしてるのだろうな」

サーシャ達はそうしたおしゃべりはしていても、油断はせず進んでいた。

「ここも誰も潜んでないようです」
「そうか、ご苦労だった」

何度か別れ道に出るが、レグリア達が調べても何もいる気配はなかった。

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