PiPi's World 投稿小説

メイド・ナイト・レジェンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

メイド・ナイト・レジェンド 1

『遙か昔。忘れたと言う事も忘れてしまった時代。かつてこの国の礎を築き上げた7人の騎士たちが存在した。
彼ら、もしくは彼女らはその手に持つ黄金の武器で持ち立ちはだかる敵をことごとく打ち払らい国を安定へと導いた』
(アルフィア王国、『国の産声』より抜粋)

上記の文は此処、アルフィア王国に住む人なら一度は聞いたことのある一節だ。
この文が書かれた書物『国の産声』は何時誰が書いたものなのか良く分かっておらず、文官たちや神官たちの間では常に疑問が飛び交う書物のトップを独占している。
しかしその一方、歴史あるこの書物は劇や歌にされていて国民の心を掴んで離さない。

「はぁ、暇ねぇ・・・」
「こら、イリス。そんなところで油うってないで仕事するっ」
王都はアルヘイム、その王都を見下ろすような場所にアルフィア王国の城“ネイブラ城”がその存在を強く主張している。
白いレンガで造られた城は其処にあるだけで一つの絵となり、多くの画家たちがこの城の絵画を描くことでネイブラ城はこのエストニア大陸に名を轟かせる。
そんな城の中庭、見事な庭園が広がる一角に退屈そうに呟く一人の少女。
彼女の名はイリス・コールハース。此処のメイドの一人で赤い長髪に蒼色の瞳をした美少女だ。
そんな美少女が庭園にあるイスに腰掛け暇そうな表情で空を見上げている時、近くで彼女を叱る声が耳を打つ。
「あぁ、サーシャか・・・。何よ、別に油売ってる訳「こんな所で黄昏ているメイドが油売っている以外に何があるの?」あぁ、あぁ、はいはい〜〜〜っと。んじゃ、行きますか」
甘い蜂蜜色のショートヘアーにアメジストの瞳を持つ中性的な少女、サーシャ・ハミルトンがイリスの右側に立ちうで組をして呆れた表情を作っている。
そんな彼女の言う事にイリスは「またか」と言う様な表情をしながら、イスから離れ背伸びをした。

「だってさぁ〜。ぶっちゃけ暇じゃないメイドって」
「なぁ〜にが暇じゃない、のさ。僕(メイド)たちの仕事って結構あるんだよ?それをかまけて暇、とか言う訳?」
長い赤い絨毯が敷かれた廊下を二人は歩いていた。
腕を頭の後ろで組んだ状態で前を歩くイリヤの言った事にサーシャは後ろでジト目で彼女を見つめている。
イリヤのこの態度は今に始まった事ではないらしい。
「だってさ、ほとんどの仕事って他の娘たちがやるもんだから仕事が見つからないのよ」
「だからって、暇「きゃあぁぁぁぁっっ!!」この声・・・またやったみたいだね」
「はぁ、コレで何度目・・・って言いたいけど行くわよ」
すぐ近くから聞こえた悲鳴にため息一つ吐く二人。そして、会話を中断し足早に声の発生源へと向かっていった。

「うえぇ〜〜んっ。またやっちゃいましたぁ〜(泣)」
「テルルっ・・・・って、ちょ、あんたっ、これ?!」
「うわぁ〜」
声の発生源である部屋のドアを荒だたしく開けるイリヤとサーシャ。そこで彼女たちが見たものは床に女の子座りで泣いている金髪ツインテールの少女メイドとお茶と菓子が服や顔に掛かって苦笑いを浮かべ、イスに座った青年の構図であった。
「うえぇぇ〜〜んっ。イリスちゃ〜ん、サーシャちゃ〜んっ、わ、私っ、私ぃぃ〜〜・・・」
「あぁ、もう! テルルっ、あんたはさっさと泣き止むっ!そしてあんたっ、何イスに座って笑ってるのよ!あんたもさっさと着替えんの!」
「いや、心配しないで。こうなるかなって思ったからお茶は冷たい「んな事は後!さっさと着替えるの!」・・・了解」
「イリス、やれば出来るのに何で「はいはいっ。あんたの小言は後でゆっくりと聞いてあげるから!」ふふ、じゃあ僕も仕事をしようか。王子、此方に」
「うん、分かったよサーシャ」
床で泣いているテルル・マルグリットを叱咤し、今だイスに座っているアルフィア王国第一王子アナン・ド・ラン・アルフィリアにタメ口で命令、さらにはサーシャの呟きに手をヒラヒラさせながら答える彼女。
その動きに無駄は無く。イリス・コールハース、ネイブラ城で奉仕する3000名のメイドの一人にして「メイド序列第二位」。
さらには「副メイド総隊長」が彼女の肩書きである。
「はぁ〜・・・テルル。あんた何でこう何でもない所で転ぶのかしら?もう呪いの類よね、ソレ」
「うぅ・・・ひっく、えっく・・・い、イリスちゃんっ、酷いよ〜」
「いやいや、イリスの言う通りだよテルル」
「ゴメン、否定できないよテルル」
「うぅ〜・・・」
あれから十数分後。騒動もようやく終わり、今だ床で女の子座りするテルルを見下ろしたながらイリスは手を自身の頭に置いてため息交じりに言う。
そんな彼女に否定しようとするも、途中でやって来たサーシャやアナンの言葉にテルルは可愛らしい声を上げながら俯いた。

「さて、騒動も終わったし私は「ちょっと?」・・・・オーケー、オーケー。サーシャ?肩に手を置かなくても分かってるわよ?」
部屋を出て行こうとするイリスに暗い影をにじませたニッコリ笑顔で彼女の肩に手を添えるサーシャ。
「分かってるなら良いけど。ちょっと仕事てつだって欲しいんだよね・・・お買い物(肉体労働)♪」
「ちょッ?!サーシャッ、話がちがっ、あ、まちなっ・・・いやっ、いやぁぁぁぁぁっっっ!!!」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す