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メイド・ナイト・レジェンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メイド・ナイト・レジェンド 3

サーシャも彼女と同じ臭いに怪訝な顔をして絶句した。イリスもサーシャと同じく、ある方向を見て驚愕の声を上げる。

二人の視線の先、其処には大陸一美しいといわれたネイブラ城が赤い業火に焼かれている。白く綺麗だった壁も、今では見るも無残な瓦礫へと変貌を遂げようとしていた。

「ちょッ、えッ「イリスッ!」あぁ・・・もうッ、分かってるわよ!」
突然の展開に頭がついて来られず混乱するイリスに、サーシャは鋭い声で彼女の名を呼び城へと走っていった。
イリスも呼ばれたことで混乱が解けたのか、頭を2,3回振るとサーシャの後を追いかけた。

――ガキィンッ、キンッ、ザシュッ! ギンッ!
金属同士がぶつかる音に何か柔らかいモノを切る音、男の雄たけびや誰とも分からぬ悲鳴が城内のあちらこちらで聞こえては消えていく。
突然の奇襲に慌てる王国騎士団、ソレに対して奇襲してきた黒い甲冑の騎士達は不気味なほどに静かであった。

(ちょ、ちょっと! どうなってんのよコレ!?)
(ボクが知るわけないでしょッ?!! いいからちょっと、黙ってて!)
城の入り口。そのすぐ近くの壁にピッタリと張り付くようにして身を隠すイリスとサーシャ。
壁から身を少し乗り出し辺りを観察するサーシャにイリスはパニック気味に叫ぶ。
注意深く、城を襲っている黒の騎士団を観察するサーシャ。何か手がかりは、と思ったその時。

「ッ! サーシャッ!!」
「チッ、見つかった!」
イリスの叫び声に素早く後ろを振り返るサーシャ。其処には、此方を殺さんばかりに剣を振り下ろそうとしている黒騎士の姿が。
「!!!」
無言なれど、鬼気迫る気配を滲ませながら振り下ろす剣。
しかし、その必殺の一撃は誰も居ない地面に深く突き刺さるだけに終わった。

「あっぶなぁ! もう、何なのよ本当に!!」
「はいはい! 無駄口は其処まで! 急いで王子の安否を確かめないと」
ランプの明かりが狭い通路を薄く照らしている此処は、先ほど二人が隠れていた壁の内側。
実はこの城、そこかしこにこの様な秘密通路が設けられており、二人はソレを使って難を逃れたのだ。

ランプに照らされる薄明るいレンガ造りの道。非常用なので、掃除もされていないのか中は少しホコリっぽい。
狭い通路に二人の足音が酷く響く中、イリスとサーシャは出口へと向かっていった。

――ゴトッ・・・ズ、ズズッ・・・
城の中のとある一室。ガタガタと揺れだしたタンスの後ろから、少しホコリにまみれた彼女たちが姿を現す。
「はぁ〜・・・ようやくホコリとおさらばできるわぁ〜」
「何を暢気な・・・此処は・・・・東側の二階だね。 王子の部屋は此処から渡り廊下に出たほうが近いかな?」
体を伸ばし、深呼吸しながら嬉しそうに言うイリスにサーシャは辺りを警戒しながら窓から見える景色で此処がどこかを瞬時に見抜き、アナンの部屋への最短ルートを割り出して行く。

「イリス。 早く「ちょっと待って」・・・って何?」
部屋を出ようとしたサーシャをイリスが呼び止める。早く王子の安否を確かめたいサーシャは、後ろでタンスを漁るイリスに苛立ちの視線を向ける。
「確かこのタンスの中に・・・って、あったあった♪」
呼び止めたイリスは、タンスの中から目当てのモノを見つけホクホク顔になっていた。

「はい。 これ」
得意げな笑みでサーシャに見せ付けたのは、鞘に納められた二本の剣。造りは一般的で特に特徴的な所は無い。
しかし、コレを見たサーシャは口をあんぐりと開けていた。
「こ、コレって・・・騎士が使用してる剣? 何でコレがここに・・・?」
二本のうちの一本を受け取ったサーシャは、スラッと鞘から剣を抜く。日の光を浴びてギラリと光り輝く刀身は、何だか頼もしさを感じさせてくれる。
「んふふ〜♪ 実は此処って「隠し武器庫」みたいな役割を持ってるのよね。 で、確か一度だけ此処でずる休みしてた時にたまたま見つけちゃってさぁ〜・・・あ」
鞘に付属されているベルトを腰に付けたイリスが自慢に言うが、最後の方で墓穴を掘ったことに気づいたが既に遅く。
「ふ〜〜〜〜ん。 良く知ってるねェ・・・ボク、全く知らなかったよ?」
さながらゴミを見るような目で自分を見ているサーシャが。
「あ、あのサーシャ? ず、ずる休みと言ってもちょっとした休憩でその!「ソレは後で問いただすとして今は王子が先。 行くよ!」・・・はぁ〜い・・・」
そんな彼女の様子に慌てて言い訳をするイリス。
しかし、サーシャはそんなイリスを尻目に扉へと向かう。説教されずにホッとした彼女だったが、出て行く寸前に言われた事に肩を落とすのだった。


「はッ、はッ、はッ・・・はぁッ!」
「はッ、はッ! あぁ〜もぅ! この!」
目の前から迫ってくる黒騎士二人を持っている剣で倒していくサーシャとイリス。剣には血がこびりついており、彼女たちが着ている服にも点々とした血痕がついている。
あの部屋から休む事無く走り続ける二人。道中には倒れ絶命している王国騎士が多く横たわっていた。
そして、待ち受けていたかのように無数に現れる黒騎士たち。それらを倒して進んできたが、そろそろ体力の限界に近い。
彼女たちが居るのは丁度渡り廊下の中央、右手には全面ガラス張りになっていて、其処からは中庭の様子が手に取る様に分かる。
今日の昼前までは美しい花々が日の光を浴びていた庭園も、今では踏み荒らされ、切り刻まれて大量の花弁が地面に落ち、見るも無残な光景を晒していた。

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