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メイド・ナイト・レジェンド
官能リレー小説 - ファンタジー系

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メイド・ナイト・レジェンド 2

黒い笑みを浮かべたままイリスを引きずっていくサーシャ。イリスの悲鳴が廊下に木霊する。
そんな二人にテルルとアナンは何ともいえない笑みを浮かべるしかなかった。

「あぁ〜・・・重い」
「当たり前でしょう?城に必要な物なんだから重いに決まってるよ」
晴天の下、多くの人がにぎわう城下町。整備された石の道の両端には数々の出店が並び客集めに熱を出している。
此処は城下町一の大通り。そのため店の数より人の数が多いので、パンパンに膨れた買い物袋二つをその細い両手で持っているイリスにとってはとてつもなく邪魔なのである。
季節も夏に近いのでその額には汗がにじんでいた。
「それにしても、此処の通りはいつも人が多いわよねぇ〜」
「うん。でもそれってこの国が豊かな証拠にならない?政治方面はあまり詳しくないから良く分からないけど」
イリスの前を歩きながら言うサーシャ。彼女の両手にもイリスほどとは行かないが膨れた買い物袋を持っている。
にも関わらず彼女の声は自分ほど疲れを感じさせないでいる。
前を歩く少女に少しの驚きを覚えつつ、イリスは再び視線を出店や人波に戻す。
「まぁ、確かにこの辺じゃあ此処が一番豊かでしょうね。何せ、政治はアスティナがやってくれてるんだし。
この近くに街道があるし、ウチの城は画家たちの間では結構有名だから一目見ようって奴もいるしね」
「ふふっ」
「? なによ、急に笑い出して」
突如、くすくすと笑い出すサーシャにイリスは顔をしかめた。
「だって、イリス。まさかイリスがそんな事言うだなんて思いもしなかったから・・・つい」
「なっ?!!」
サーシャが笑いをこらえながら言った事にイリスは顔を真っ赤にさせる。
「なっ、なな、何を言ってるのよあんた?! てか、私がこんな事を言うのそんなに可笑しい?!」
「うん。 いつも“あの場所”でグータラしてる所しか見てないし、第一王子であるアナン様にはタメ口で接するし、“メイド長”である僕にだって今こうして何時もの態度で接してるでしょ?
そんな自己中全開のイリスがこの国の事を言ってるときの口調と顔、まるでわが子を見るお母さんみたいだったよ?」
「・・・」
振り向いて笑顔のまま先ほどの事を言うサーシャ。そんな彼女に対してイリスは顔を真っ赤にしたまま無言になり、下を向いて体をプルプルと震えさせていた。

「あ〜・・・イリス?」
さすがに言い過ぎたか、サーシャは気遣わしげにイリスに声を掛ける。
「誰が・・・」
「へ?」
ポツリと零れた彼女の言葉にサーシャは聞き返えした。
次の瞬間。
「誰がお母さんかぁーーーーーっ!!!!」
大爆発。大通りのど真ん中、顔全体を赤に染まり持っていた買い物袋二つを天高く掲げ、大声で叫ぶ様はまさに感情の大爆発と言っても良いだろう。
「い、イリス?! ちょ、どうしたの!?」
「どうした!!? さっきも言ったでしょ! 誰がお母さんですって?!! 私はまだぴちぴちの18歳よ!!」
「わ、分かった・・・分かったから!! 落ち着いて!周りを見て!!」
大声で叫ぶイリスにサーシャは慌てて止めに入る。顔は違う意味で赤くなっていた。


「うぅ・・・とんだ恥をかいたわ・・・」
「それはボクも同じだよ・・・あぁ・・・あんな目で見られちゃったらもう城下に行けないよ・・・」
城下町と城を繋ぐ曲がりくねった一本道。整理された土の道の両端には、青々とした木々が生い茂っている。
そんな道をイリスとサーシャは暗い顔で歩いていた。理由は言わずもがな城下町でのイリスの大爆発だ。
あの後、我に返ったイリス。しかし時既に遅く、周りにはたくさんの野次馬が二人を取り囲んでいた。様々な目で二人を見る野次馬。中にはニヤニヤとする者や可哀そうな者を見るよう目で見ている者まで居る始末。
その事に気づいた二人は顔を真っ赤にしながらダッシュで帰り、今に至る。

「もう・・・イリスがあんな事するからボクにも恥を掻いたんじゃないさぁ〜」
「ちょっと、私が悪いっての!? 元はといえ・・・ば・・・ん? 何、この臭い?」
歩きながらジト目で言うサーシャ。そんな彼女にイリスも言い返そうとした瞬間、何か焦げ臭いニオイがイリスの鼻をついた。
「臭い? ん、何か焦げてる様な・・・って、あぁッ!!?」
「え? うそッ!?」

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